コーヒー1杯の暖かさ

心理学を研究する大学院生が、研究もそこそこちゃんとやりながら、日本の教育に一石を投じます。

流暢,だけどそれが好きではない:顔とパターンに対する流暢性理論 (Gerger et al., Quarterly Journal of Experimental Psychology, 2017)

f:id:jin428:20201022091151j:plain
みなさんこんにちは。

教育と心理学について考えているじんぺーです。

今日も論文行きます!

昨日のメモはこちら▽

www.jinpe.biz

 

さっそくいきます! 

 

流暢,だけどそれが好きではない:顔とパターンに対する流暢性理論 (Gerger et al., Quarterly Journal of Experimental Psychology, 2017)

結論からいうと、抽象パターンについては、提示時間の長さによって流暢性、確信度、好感度が上がるが、顔については、提示時間の長さによって流暢性と確信度は上がるが、好感度は逆に下がり、流暢性と好感度の関係は刺激のカテゴリに依存することを示唆した

 

背景

ヘドニック流暢性理論 (Reber et al., 2004) によれば、提示時間が長くなると、流暢性が高まり、刺激に対する好感度も高まることが知られている。

→しかし、顔という刺激は、多様な情報源があり(例えば、平均性や対称性、皮膚の状態)、より長い提示時間を通じた流暢さは、情報源の一つでしかないかもしれない

→他の刺激とは反応が異なるかもしれない

 

目的

顔刺激と抽象パターンの刺激提示時間を操作(100ミリ秒、200ミリ秒、300ミリ秒、400ミリ秒)することによって、それぞれの刺激に対する、流暢性、好感度、確信度の変化を調べ、流暢性が好感度に与える影響を検討する。

 

方法

参加者:64名のボランティア(M = 26.16歳, SD=5.51, 男性34名)

→半数は顔刺激を、もう半数はパターンを評価

刺激:顔刺激は、Schacht, Werheid, and Sommer (2008) から112枚の顔画像(サイズ:630×819ピクセル)を選択。抽象的なパターンは、Gartus and Leder (2013) の刺激セットから144枚を引用。

手続き:好感度評価(+確信度)ブロックと流暢性評価ブロックの2ブロックに分かれていた。刺激は100、200、300、または400msの間表示され、500msのホワイトノイズマスクが続き、その後、参加者は回答した。

 

結果

流暢性:提示時間の有意な主効果(F(1.35, 84.20) = 51.61、p < 0.001、𝜂2𝑝 = 0.45)で確認されたが、刺激クラスは、提示期間のこの効果に影響を与えなかった(提示期間×刺激クラスの相互作用. F(1.36, 84.20) = 1.38、p = 0.25、𝜂2𝑝 = 0.02)

好感度:提示時間の主効果が有意でない(F(3, 186)=1.18、p = 0.32、𝜂2𝑝 = 0.02)が、刺激クラス×提示期間の交互作用は有意(F(3, 186) = 10.61、p < 0.001、𝜂2𝑝 = .15)で刺激クラス間の違いを示した

→パターンの提示時間とともに好感度が上昇することを示しているが、顔については逆の効果が観察

確信度:確実性は提示期間とともに増加(F(1.68, 103.88) = 23.60、p < 0.001、𝜂2𝑝 = .27)

 

コメント

人の顔は長く見れば見るほど(流暢性が上がっても)魅力度が上がるわけではないという、なんだか悲しくなるような結果。General Discussionでされていた追加のデータでは、短い提示時間は「よりぼやけている」と評価させ、それが魅力度につながっているというとても皮肉なものだった。

顔は流暢性以外にもさまざまな要因がその好感度を決定している、という説明がなされると同時に、その説明では、顔の流暢性が好感度につながっていないいないことの説明になっていない、と言っていたのが丁寧でよいと思った。

こういったカテゴリ依存の研究は、芸術のカテゴリ違いの論を進めるときに参考になるので、勉強していきたいと思った。

 

論文

Gerger, G., Forster, M., & Leder, H. (2017). It felt fluent but I did not like it: fluency effects in faces versus patterns. Quarterly Journal of Experimental Psychology, 70(4), 637–648. https://doi.org/10.1080/17470218.2016.1145705