コーヒー1杯の暖かさ

心理学を研究する大学院生が、研究もそこそこちゃんとやりながら、日本の教育に一石を投じます。

脳内の自己処理:プロの歌手を用いたパラダイム的fMRI症例研究 (Zaytseva et al., Brain and Cognition, 2014)

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みなさんこんにちは。

教育と心理学について考えているじんぺーです。

今日も論文いきます!

昨日のメモはこちら▽

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さっそくいきます!

 

脳内の自己処理:プロの歌手を用いたパラダイム的fMRI症例研究 (Zaytseva et al., Brain and Cognition, 2014)

結論から言うと、演技経験の豊富なプロのオペラ歌手を対象に、機能的磁気共鳴画像検査を行い、自身または他の歌手が歌ったモーツァルトのアリアの抜粋を提示した結果、大脳皮質正中線構造(Cortical Midline Structures; CMS)において、自己とそれ以外の状態が区別され、自己関連処理と自己参照的処理に異なって関与していることが示された。

 

背景

神経科学的な研究では、神経画像法を用いて脳の正中線が自己処理に決定的に関与する領域であることを明らかにし、自己についての理解を深めてきた。

→自己処理に関与する神経領域と安静時の状態モードを特徴づける神経領域との間にかなりの構造的重複があることを示している。

→自己関連度の高い内発的な刺激が、自己関連度の異なる外発的な刺激とどのように結びついているのか、エビデンスが不足。

 

目的

明示的な評価や判断を伴わない自己関連性や自己参照性が疑われる刺激の知覚の神経相関を検討する。

 

方法

参加者:全身の健康状態が良好で、神経学的・精神医学的疾患の既往歴のない右利きの方(女性、年齢=69歳)

→プロのソプラノ歌手として35年以上の経験があり、現在は教授

刺激:4つの実験条件

(1) 被験者自身の歌声を録音したものからの短い抜粋を聴く-LS

(2) 他人が歌った同じ曲を録音したものを聴く-LO

(3) 声部のない器楽を聴く-LM

(4) プロの歌手がよく訓練されている器楽を伴奏にした能動的な内的な(聴こえない)歌唱-SM

 

結果

1.自分を聴く場合と声部の器楽を聴く場合の比較(LS>LM)では、背外側前頭前野、内側前頭前野、脳内最大の活性化クラスターである前帯状皮質、角回、中後頭回での活性化

→自己処理を伴うタスクでは、自己関連処理に特異的な役割を果たす前帯前野の活性化が共通して見られた

→大脳皮質正中線構造と大脳皮質下領域において、自己と他の知覚に関する神経活動に違いがあることを発見

→このような違いが実際に観察されたという事実は、音楽刺激が自己と関連した感覚入力の特定の側面を表すことを示唆

 

コメント

プロのシンガーに焦点を当てたケーススタディ。自己参照刺激と自己関連刺激の処理の間に違いがあるというのはこれからどこかで引っ張ってきそうな研究。

あまりちゃんと読めなかったので、必要であればもう一回読む。

 

論文

Zaytseva, Y., Gutyrchik, E., Bao, Y., Pöppel, E., Han, S., Northoff, G., Welker, L., Meindl,
T., Blautzik, J., 2014. Self processing in the brain: a paradigmatic fMRI case study
with a professional singer. Brain and Cognition. 87, 104–108.