コーヒー1杯の暖かさ

心理学を研究する大学院生が、研究もそこそこちゃんとやりながら、日本の教育に一石を投じます。

詩の美的鑑賞における3秒の時間窓 (Zhao et al., Psych Journal, 2018)

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みなさんこんにちは。

教育と心理学について考えているじんぺーです。

日曜日ですが、今日も短いのを読めたので共有します。(土日はゆっくりしたいので短いものにしています)

 
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詩の美的鑑賞における3秒の時間窓 (Zhao et al., Psych Journal, 2018)

結論から言うと、中国人とドイツ人に中国詩を美的評価させた研究で、詩の内容を理解しているかどうかに関わらず、約3秒の時間窓が好まれた。

 

背景

神経系における時間的処理は、約3秒の時間窓によって特徴づけられる。

→言語コミュニケーションに関しては、自発的な発話もこの時間窓に埋め込まれ、リズミカルな構造を与えていることが観察されている。

→詩を朗読することは、それに応じて自然に3秒のフレームに組み込まれているが、この時間的枠組みは、詩の美的鑑賞に重要な役割を果たしている可能性がある。

 

目的

3秒という時間的枠が詩の美的鑑賞に最適な枠を提供しているかどうかを検討する。

 

方法

参加者:中国の大学生13名とドイツの大学生13名

刺激:2つの感情タイプ(半分が幸せ、半分が悲しい)の30文

→詩的な持続時間の異なる4つの高品質バージョン(詩的な文の各節の持続時間はそれぞれ1.5秒、2秒、3秒、4秒)に修正

→得られた120文をランダムに2回ずつ使用し、合計240回の試行を8つのブロックに分けて行った

("How does beautiful does the sentence sound? " に対して9件法で回答)

 

結果

1.詩の持続時間のみに有意な主効果が認められた(F = 44.009、p < 0.001、η2 = 0.857)

→2つのグループの美的評価は、2秒と3秒の持続時間で最も高かった

→この美的嗜好は、感覚情報を処理するための時間枠を作る最適な時間枠を示唆

2.詩の持続時間と文化の相互作用が有意(F = 7.913、p < .001、η2 = .519)

3.幸せな詩と悲しい詩の間ではそのような効果は観察されなかった

→言語を理解している中国人であっても、詩の内容を十分に把握することができず、詩的な感情の抽出が弱くなっていた

 

コメント

短いながらも自分の研究に直結しそうな内容。

しかし、本研究で1番大切であろう時間窓のことがよくわからず、1.5、2、3、4秒の持続時間を持つ詩歌とはどんな詩歌なのかわからなかった。読み終わった後の余韻の時間のことかな?とは思うが、確信が持てない…

最後の方に書いていた「詩などの美的素材が人間の認知を研究するための実験的刺激として利用できることを示している」という部分はこのまま引用したいくらいよく言ってくれたという感じ。美的鑑賞研究といえどもさまざまな知覚、注意、評価の研究のうえに成り立っているし逆にそれらに寄与できる部分も多くあるなあと信じている。

 

論文

Zhao, C., Zhang, D., & Bao, Y. (2018). A time window of 3 s inthe aesthetic appreciation of poems. PsyCh Journal, 7(1), 51–52. https://doi.org/10.1002/pchj.194