コーヒー1杯の暖かさ

心理学を研究する大学院生が、研究もそこそこちゃんとやりながら、日本の教育に一石を投じます。

詩の美的評価と事象関連電位の処理の容易さとの相関関係 (Obermeier et al., Cognitive, Affective, & Behavioral Neuroscience, 2016)

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みなさんこんにちは。

教育と心理学について考えているじんぺーです。

今日も論文を読んでいきます!

昨日の論文はこちら▽

 

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早速今日もいってみます。

 

詩の美的評価と事象関連電位の処理の容易さとの相関関係 (Obermeier et al., Cognitive, Affective, & Behavioral Neuroscience, 2016)

結論から言うと、韻を踏んだスタンザでは好感度とリズミカルさの評価が向上し、拍子があって韻が踏まれているスタンザはそうでないスタンザよりもN400/P600の脳波を観測したと同時に、N400およびP600効果は、美的嗜好効果と相関した。

 

背景

・神経美学は、特定のタイプの美的鑑賞と経験の基礎となる(神経)メカニズムを特定しようとする神経科学の新しい関心分野として浮上してきた

→言葉や文章の美的鑑賞、特に言語の詩的特徴(韻律やメートルなど)の美的鑑賞は、これまでのところ神経科学の研究ではほとんど注目されてこなかった

・詩的言語の特定の特徴が心理学的プロセスに影響を与え、その結果として詩の美的鑑賞に影響を与えると理論化

→特に、詩の二つの特徴であるメートルと韻律は、詩の美的鑑賞に影響を与えている

・認知的流暢性理論は、芸術一般、特に詩の鑑賞の基礎となる心理的プロセスを説明するための理論的枠組みを提供するものである

 

目的

拍子と韻律をコントロールして、それらがリズミカルさの知覚、美的評価、ERPに与える影響とその相互作用を調べる

 

方法

参加者:18人のドイツ語母語話者(男性11人、女性7人、18-30歳、平均24.9歳)

刺激:Obermeier et al. (2013) が使用した抒情的なスタンザのサブセットから構成されている。

→オリジナルの刺激セットは、19世紀から20世紀初頭のドイツの詩から100の4行のスタンザから構成。

→予備調査により240スタンザ(60スタンザ×4バージョン)

手続き:すべてのスタンザを注意深く聞くように指示し、対応する応答ボタンを押して、そのスタンザのリズミック性と嗜好性を5段階。脳波を測定。

 

結果

1.リズムの規則性の評価では、拍子(拍子付き、3.36 ± 0.11、非拍子付き、3.00 ± 0.11)[F(1, 17) = 20.45、p < 0.001]と韻(韻、3.98 ± 0.12; 非韻、2.38 ± 0.18)[F(1, 17) = 52.08、p < 0.001]の主効果

→交互作用も有意 [F(1, 17) = 9.59, p = 0.007]

2.嗜好評価の統計分析では、拍子(拍子付き、3.11 ± 0.10; 非拍子、2.92 ± 0.09)[F(1, 17) = 20.03, p < . 001]と韻(韻有、3.38 ± 0.12; 韻なし、2.65 ± 0.12)[F(1, 17) = 26.05, p < 0.001]、および2つの因子の有意な相互作用[F(1, 17) = 11.01, p = 0.004]

3.側方電極[r(17) = .44, p = .038]と正中線電極[r(18) = .48, p = .026]では、N400と美的好感度との間に有意な相関

4.P600は、側面[r(18) = -.51、p < 0.0001]および正中線[r(18) = -.78、p < 0.0001]の両方のROIで美的好感度と有意な負の相関

 

コメント

詩のスタンザをいじって、拍子と韻律を統制しながらその流暢さと美的嗜好の関係をみた研究。ドイツ語(英語も似ていると思うけど)の「拍子のある詩は韻律を排除することができるが、韻律のある詩はほとんど必ず拍子のある詩」という特徴がおもしろかった。俳句でいうと無意識に拍子を付けて読むことが多いけど、そこに韻を踏むことはあまり多くない。ドイツ語に訳した俳句もそのあたり意識してないのかな、少し気になるところ。

本論文に書いているように、こういう拍子とか韻とかは芸術としての詩だけでなく広告とか演説とか一般的に使われていることなので、ほかの分野への応用という面では価値のあることだと思う。曖昧さとかは正直応用がしにくいけど、とりあえずがんばって研究していこうと思った。

 

論文

Obermeier, ., Kotz, S. A., Jessen, S., Raettig T., Koppenfels, M., & Menninghaus, W. (2016). Aesthetic appreciation of poetry correlates with ease of processing in event-related potentials. Cognitive, Affective, & Behavioral Neuroscience, 16, 362–373.