コーヒー1杯の暖かさ

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物語芸術の心理学 (Oatley & Djikic, Review of General Psychology, 2018)

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みなさんこんにちは。

教育と心理学について考えているじんぺーです。

今日も論文を読んでいきます!

昨日の論文はこちら▽

 

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さっそくいきます!

 

物語芸術の心理学 (Oatley & Djikic, Review of General Psychology, 2018)

結論から言うと、物語(主にフィクション)の効果を実証的に探求してきた証拠をレビューした論文で、➀物語が人々をより共感的にすることを可能にすること、②前景のフレーズが出来事の重要性を認識することを読者に促すこと、③文学作品が人々自身の人格を変えることを助けることの3点に焦点を当てる。

 

共感性

・Mind in the Eyes Test (Baron-Cohen, Wheelwright, Hill, Raste, & Plumb, 2001)

このテストでは、参加者は郵便受けのスロットを通して見たような人々の目の写真36枚を見ている。参加者はそれぞれの写真について、その人が何を考えていたかを選択肢から選ぶ

→このテストのスコアがノンフィクションを多く読む人よりもフィクションを多く読む人の間で高かった

→性格、教育年数、社会的支援を含むすべての個人差をコントロールした場合、フィクションを読むこととMind in the Eyesテストの高得点との間の相関は依然として有意

→ロマンスやスリラーや探偵小説の読者は、SFの読者よりもMind in the Eyes Testのスコアが高い

・他人の理解に関係する脳の活性化領域の一部は、物語の理解に関係する領域と同じ

 

前景化

・詩や散文の中で日常的な使用法と比較して際立って、珍しいフレーズを特徴づける

→読者が詩を読むとき、他のフレーズよりも前景化されたフレーズに注目する傾向が強いことを発見 (van Peer, 1986)

 

自己変容

・チェーホフの物語を読んだ人は(ノンフィクションを読んだ人と比べて)、小さいながらも統計学的に有意な量の人格の変化が見られた

・言語能力の向上(Mar & Rain, 2015)、寿命の延長(Bavishi, Slade, & Levy, 2016)、社会的関係への関与の改善(Holt-Lunstadt, Smith, & Layton, 2010)、不安状態の改善(Djikicic, Oatley, Zoeterman, & Peterson, 2009a)、人権の認識(Hunt, 2007)など

 

まとめ

・文学作品は、読者が取り込んで自分のものにすることができる、外部化された意識のかけらであると提案してきた(Oatley & Djikic, 2017)

→この第一原理において、私たちは、文学芸術の作品の作者と読者の双方が、感情に基づく探究に従事することを提案する。

→これは、MiallとKuiken(2002)が提案したように、読者が、前景化の手段によって、部分的には、自分自身と他者との関係において自分の感情を理解するだけでなく、それを探究し、さらに理解し、発展させ、変容させることを可能にした

・文学的な文章とは記述ではない。それは提案である。

→東洋の詩学の理論では、Abhinavaguptaは、詩の中心はdhvani、つまり暗示であると提案している(Ingalls, Masson, & Patwardhan, 1990)

 

コメント

すごく著者のスタイルが表れているレビュー論文だなあと思った。引用・例示も多くて理解しやすいといえばそうだけど、学術論文ぽくない親しみやすさも感じた。

査読者にOatleyさんの研究も参考にしなさいとのことで詠み始めたけど、いまいちこの方たちの業績がつかみ取れていない感じ。Poetryはまだまだ少ないからやはりいろんなLiteratureを参考にする必要があるのかなあと思った。明日?か近々

Summerfield, Hassabis, and Maguire (2010)は読みたいと思った!

 

論文

Oatley, K., & Djikic, M. (2018). Psychology of Narrative Art. Review of General Psychology, 22(2), 161–168. https://doi.org/10.1037/gpr0000113