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構造欲求尺度の日本語訳版の開発と検証 (Kashihara, Psychology, 2016)

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みなさんこんにちは。教育と心理学について考えているじんぺーです。

今日も論文を読んでいきます!

昨日の論文はこちら▽

 

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構造欲求尺度の日本語訳版の開発と検証 (Kashihara, Psychology, 2016)

結論から言うと、PNS(Personal need for structure)の日本語版作成を目指し2つの調査を行った研究で、1つ目の研究では内部信頼性や因子構造を確認し、2つ目の研究では、再検査信頼性や基準関連妥当性を検討し、オリジナルの尺度とほぼ同等であることが支持された。

 

背景

■PNS(Personal need for structure)とは、膨大な量の情報を単純化して構造化する傾向の個人差

・認知負荷軽減戦略や創造性との関連性が先行研究で頻繁に検討

■PNSが高い人は、

・提供された情報を整理して単純化する

・ステレオタイプを使用する

・認知的に経済的なヒューリスティック・プロセスの結果として幻想的な相関関係を生み出す

傾向がある

■PNSが独断主義、曖昧さへの不寛容 (Neuberg & Newsom, 1993)などの認知の硬直性と正の相関関係を持つことも、これまでの調査で示されている

■PNSスケールは、2つのサブスケールから構成:

・構造に対する欲求サブスケール(例:「明確で構造化された生活様式を持つことを楽しむ」、4項目)

・構造の欠如に対する反応サブスケール(例:「そこから何が期待できるかわからないまま状況に入るのは気分が悪くなる」、7項目)

 

研究1

PNS-Jを開発し、初期バリデーションを行った。スケールの内部整合性を評価し、確認的因子分析を実施して、オリジナルのPNSスケールの2因子構造がPNS-Jでも維持されているかどうかを検討

■方法

・参加者:日本人学部生244名(女性165名、男性77名、性別を示さない参加者2名)

・分析:クロンバッハのα係数を算出し、PNS-Jの内部整合性を調べた後、PNS-Jの11項目を指標とした確認的因子分析を行い、1因子モデルよりも2因子モデルの方が、「構造欲求」因子に4項目、「構造不足への対応」因子に7項目を負荷した場合の方がデータに合っているかどうかを検討

■結果

・構造の欠如に対する反応サブスケールと全11項目は十分な内部整合性を有していることが示された(α=0.73、0.76)一方、Desire for Structure サブスケールでは、内部整合性の値が小さくなっている(α = .55)

・2因子モデル(χ2 (43) = 75.77, p = 0.001, CFI = 0.922, TLI = 0.881, RMSEA = 0.056)は、1因子モデル(χ2 (44) = 108.09, p < 0.001, CFI = 0.848, TLI = 0.772, RMSEA = 0.077)よりもデータによく適合

 

研究2

PNS-Jと他の関連変数との相関関係を調べ、PNS-Jの妥当性の収束性と識別性の証拠を提供した。第二に、PNS-J測定のテスト-再テスト信頼性を4週間の間隔で検討

■方法

・参加者:ベースライン評価時(T1)の参加者は日本人学部生354名(女性216名、男性137名、性別不詳1名)であった。このうち女性166名、男性78名、性別不詳1名の計243名が2回目の評価(T2)でも質問紙を提出

■結果

・構造欲求サブスケールは、誠実性サブスケール(r = 0.24、p < 0.001、95% CI [.13, .33])と正の相関があり、認知欲求スケール(r = -.02、p = 0.655、95% CI [-.13, .08])とは有意な相関はなかった

・構造の欠如への応答は、外向性(r = -.25、p < 0.001、95% CI [-.35、-.15])、開放性(r = -.22、p < 0.001、95% CI [-.31、-.12])と負の相関、神経症傾向(r = .28、p < 0.001、95% CI [.18、.37])と正の相関

・T1とT2のスコア間の相関係数は、Desire for Structureサブスケールではr = 0.67 (p < 0.001, 95% CI [.60, .72])、Response to Lack of Structureサブスケールではr = 0.80 (p < 0.001, 95% CI [.76, .83])

 

コメント

自分も尺度翻訳を行っているので、これは読んどけと先生に紹介された論文。とてもシンプルだけど、急所は外していなくて、これを目指せばいいとなると、やることは明白になっていくのでとてもありがたい。Big Fiveと(弁別性をはかる)Need for Cognitionだけで基準関連を見ているのがあっさりしていていいなあと思った。各サブスケールごとに検証していくのが大事なのかなと。

 

論文

Kashihara, J. (2016) Development and Validation of the Japanese-Translated Version of the Personal Need for Structure Scale. Psychology, 7, 399-409. doi: 10.4236/psych.2016.73042.