コーヒー1杯の暖かさ

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開放性と曖昧さの不寛容:大学生活移行期の文脈におけるウェルビーイングとの特異的関係 (Bardi et al., Personality and Individual Differences, 2009)

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みなさんこんにちは。

今日も論文を読んでいきます。

昨日更新したのはこちら▽

 
www.jinpe.biz

 

開放性と曖昧さの不寛容:大学生活移行期の文脈におけるウェルビーイングとの特異的関係 (Bardi et al., Personality and Individual Differences, 2009)

結論から言うと、大学1年生は曖昧さへの不寛容という特性が脅威や挑戦に繋がり、結果的に幸福感と関連しているが、上級生では不寛容から脅威や挑戦のパスがなくなる。開放性からのパスは1年生でも上級生でも同じ結果となる。

 

背景

■特性の曖昧さ不寛容 (曖昧さの許容または不確実性の許容/不寛容とも呼ばれる) は、"脅威の源として曖昧な状況を知覚する傾向 "と定義

・McCrae(1996)は、曖昧さの不寛容が開放性の動機付け的な側面を表すことを示唆

・しかし、曖昧さ不寛容とは異なり、開放性は知的関心にも関連

■これらは新規性や変化を含む状況では似たような意味合いを持ちますが、学術的な活動に焦点を当てた状況では異なる意味合いを持つかもしれない

・人生の移行の初期には、開放性の高い個人は、開放性の低い個人と比較して、高い主観的幸福感を経験する可能性

・大学進学への移行という文脈では、開放性は知性との関連性があるため、幸福度との関連性が継続する可能性

・大学での学習開始時には曖昧さ不耐性が幸福度と関係していると考えられるが、その後は関係していないのではないかと考えられる

 

仮説

曖昧さに対する不寛容さは、人生の移行の初期にのみ、挑戦や脅威の認識を通じて、主観的な幸福感と関連していると予想された。一方、開放性は、人生移行の初期およびその後のchallengeや脅威の知覚を通じて、主観的な幸福感と関連している

 

方法

参加者:298名が1年生(女性235名、平均年齢19歳、SD = 4)、212名が上級生(女性152名、平均年齢21歳、SD = 4)の計500人

尺度:

1.曖昧さの不寛容性 (Uncertainty Tolerance Scale (UTS; Dalbert, 1999)

2.開放性(BFI; John, Donahue, & Kentle, 1991)

3.threat と challenge の評価(認知的評価尺度 (Cognitive Appraisal Scale, Skinner & Brewer, 1999) をベースに、ストレス評価を測定するための質問紙を作成)

4.well-being:

SWLS,STAI, PANAS

 

結果

■開放性と曖昧さの不寛容性の相関は、1年生では上級生に比べてはるかに強い(それぞれr = -.42および-.25)

→人生の移行の初期においてより機能的に類似している可能性を示唆

■開放性に関しては、大学での学習の初期とその後の両方において、チャレンジ評価や脅威評価を通じた主観的な幸福感と関連している

■1年生では、不寛容は、脅迫評価を通じて直接的にも間接的にも、負の感情と不安に正の関係を示した。また、チャレンジ評価を通じ、間接的にポジティブな感情や人生の満足度にも関連していた。しかし、上級生では、曖昧さの不寛容から挑戦、脅威、負の感情、不安への直接的な経路はすべて有意ではなかったが、他のすべての関連性は残っていた。

・曖昧さ不寛容と主観的幸福感との関係は、明らかに大学での研究の始まりに特有のもの

 

コメント

仮説のモデル通りのきれいな結果が出てて、いい研究だなあと思った。時期によって曖昧さの不寛容さが(認知的)評価に与える影響度が変わってくるのは直観通りだと思う。自分が曖昧さへの態度を考える上で、幸福感や不安傾向も取りたいけど、このあたりの時期的な側面も考慮しながら考えていきたいなあと思った。

 

論文

Bardi, A., Guerra, V. M., Sharadeh, G., & Ramdeny, D. (2009). Openness and ambiguity intolerance: Their differential relations to wellbeing in the context of an academic life transition. Personality and Individual Differences, 47, 219-223. doi:10.1016/j.paid.2009.03.003