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児童文学・青年文学のセンチメント分析:ポリアナ効果はあるのか?(Jacobs et al., Frontiers in Psychology, 2020)

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みなさんこんばんは!

教育と心理学について考えているじんぺーです。

昨日の論文はこちら▽

 

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さっそくいきます!

 

児童文学・青年文学のセンチメント分析:ポリアナ効果はあるのか?(Jacobs et al., Frontiers in Psychology, 2020)

結論から言うと、SentiArt (Jacobs, 2019)と呼ばれる教師なしベクトル空間モデルベースのセンチメント分析ツールを、英語のコーパス(372冊)とドイツ語のコーパス(500冊)の2つのCYLコーパスに適用した結果、両方のコーパスはポリアンナ効果を示し、したがって普遍性仮説にさらなる証拠を追加した。

 

背景

 ■ポリアンナ仮説

1969年にBoucherとOsgoodは、「人間は人生の明るい面に目を向ける(話す)傾向がある」という考えを示す有力な証拠を提示した。すなわち、評価的に肯定的な言葉を評価的に否定的な言葉よりも頻繁に、多様に、そして簡単に使うという普遍的な人間の傾向を示した。

・約50年後、多くの技術的進歩-特に自然言語処理(NLP)、計算言語学、機械学習の手法-を経て、Doddsら(2015, p. 6)は、この仮説を支持する大規模なマクロ分析と多言語テキストコーパスの一変量センチメント分析に基づく広範な異文化データを発表

■このようなテキストの正のバイアスは、正の優位性効果として知られるテキスト処理や読書行動に測定可能な結果をもたらす

・多くの単語認識タスクにおいて、正の単語の方が中性や負の単語よりも応答時間が速いという観察結果

■VSMを使用することで、これらの問題を回避し、VSMが公開されているあらゆる言語に適用可能であること(例えば、fasttext3の120以上のVSM)など、以前の記事で議論されたいくつかの利点がある(Jacobs, 2019; Jacobs and Kinder, 2019)

目的

Doddsら(2015)とGreeneら(2017)の研究では、どちらも成人向けのテキストを使用していたことを踏まえ、児童文学と青少年文学(CYL)の国際的なテキストもまた、どの程度ポリアンナ効果を示すかを検討する。

 

方法

素材:Gutenberg Literary English Corpus (GLEC; Jacobs, 2018b)とchildLexコーパス (Schroeder et al., 2015)の2つのコーパスから得た

手続き:両コーパスのテキストは、標準的なPython NLPツールを用いて前処理を行い、単語はtreetagger2を用いてPOSタグ付けを行い、内容語(名詞、動詞、形容詞、副詞)のみをSentiArtを用いてセンチメント分析を行った

 

結果

1.SentiArtによって計算されたAAP特徴の予測妥当性は、Sylvesterら(2016)の実験1で得られたkidBAWLの評価データを用いてテスト

・人間の評価データに対するSentiArtの経験的予測妥当性を確立した (R2adj = 0.68 (ロジスティック・フィット; 線形フィット: R2adj = 0.65)

2."Pollyanna Grows Up "のセンチメント分析において、ポリアンナ効果が検証された(図2)

3.GLEC-CYLの書籍は一般的にポリアンナの原理に従っており、すべてのAAP値にポジティブバイアスがかかっており、1文あたりの(PNR)は2.3

4.childLexの1文あたりPNRは1.5

 

コメント

ゼミで発表したい論文、だけど、発表するにはもう少し先行研究を読まないことには理解が怪しい。特にAAP (Affective-aesthetic potential) のことは理解しておかないといけないと思った。新しいテクノロジーなので、結果が硬そうな題材(ポリアンナ効果)を持ってきて、検証しているのかなと思った。心理学者、としての立ち位置も忘れない書き方が好感を覚えた。

 

論文

Jacobs, A. M., Herrmann, B., Lauer, G., Lüdtke, J., & Schroeder, S. (2020). Sentiment Analysis of Children and Youth Literature: Is There a Pollyanna Effect?. Frontiers in Psychology, 11, 574746. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2020.574746