コーヒー1杯の暖かさ

心理学を研究する大学院生が、研究もそこそこちゃんとやりながら、日本の教育に一石を投じます。

曖昧さへの不寛容と社会不安 (Boelen & Reijntjes, Journal of Anxiety Disorders, 2009)

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みなさんこんばんは。教育と心理学について考えているじんぺーです。

今日も論文を読んでいきます。昨日の論文はこちら▽

 

 

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曖昧さへの不寛容と社会不安 (Boelen & Reijntjes, Journal of Anxiety Disorders, 2009)

結論から言うと、不確実性に対する不寛容と社会不安との関係を検討した結果、社会不安の認知的相関関係(例えば、否定的評価への恐怖)と神経症をコントロールした場合、IUは社会不安の重症度の有意な変動を説明することが明らかになった。

 

背景

■特定の認知的因子が特定の不安障害の発症に関与

・パニック障害における不安感受性、社会恐怖症における否定的評価への恐怖、強迫性障害(OCD)における過剰な責任感、および全般性不安障害(GAD)における不確実性への不寛容(IU; Intolerance of Uncertainty) など

・IUは「人が不確実な状況を認知、感情、行動レベルでどのように認識し、解釈し、対応するかに影響を与える認知バイアス」と定義

■非臨床サンプル(例:Holaway, Heimberg, & Coles, 2006)と臨床サンプル(例:Dugas & Ladouceur, 2000)を用いた研究では、IUは一貫してGADと相関していることがわかっている

■IUがGADの比較的特異的な成分であるという証拠

・高レベルのIUがGAD患者をパニック障害患者と区別することが示されている(Dugas, Marchand, & Ladouceur, 2005)

・IUはうつ病よりも、GADの重要な症状である病的心配との関連性が強い

■IUと社会不安との関係を調べた研究はまだない

・社会不安が高い人は、他者からの詮索を受ける可能性のある社会的状況において、顕著で持続的な恐怖を経験する(Hofmann & Barlow, 2002)が、不確実性、曖昧さ、予測不可能な変化は、このような社会的評価を受ける状況に固有のもの

 

目的

■社会不安と関連していることが明らかにされている多くの認知変数を考慮に入れて、IUが社会不安の重症度とどの程度関連しているかを検討する

■社会不安に関して、IUとGADの関係の特異性を検討することにより、IUの一般性と特異性の理解を深める

 

方法

参加者:126人の成人 (47.7歳、S.D.=11.7歳、91.3%女性)

尺度:

1.社会的恐怖症インベントリ(SPIN:Social Phobia Inventory)

2.不確実性への不寛容(IUS, Freeston, Rheaume, Letarte, Dugas, and Ladouceur, 1994)

3.Brief Fear of Negative Evaluation Scale (BFNE) (Weeks et al., 2005)

4.Anxiety Sensitivity Index (ASI)

5.Rosenberg Self-Esteem Scale (SES)

6.多次元完璧主義尺度(MPS):社会不安と相関することが明らかになっている3つのサブスケール (Concern over Mistakes (CM), Doubts about Actions (DA), Parental Criticism (PC)) のみを使用

7.Penn State Worry Questionnaire (PSWQ)

8.DSM-IVの一般化不安障害質問票

9.病院不安・抑うつ尺度(HADS-D):うつ病サブスケール

10.強迫性インベントリ改訂版 (OCI-R)

11.短縮型アイゼンク性格質問票(EPQ):神経症サブスケール

 

結果

1.MPS の下位尺度である Parental Criticism を除いて、ほとんどすべての尺度との相関は有意

2.ブロック1で神経症を入力し、ブロック2で7つの認知変数をステップワイズ分析に含め、ブロック3で式にIUを加えた階層的回帰分析

・神経症(ブロック1で入力)が社会不安の分散の38.1%を説明したことを示した。FNEと不安感受性がブロック2の式に連続して選択され、それぞれ分散の14.7%と2.3%を説明した。ブロック3では、IUが社会不安の重症度の分散の4%を追加で説明した。

3.GAD、社会不安、OCD、うつ病の症状レベルにIUSがどの程度特異的に関連しているかを、これらの症状間の共有分散をコントロールした場合に検討

・IUSスコアの分散の66.2%が説明された(F(4, 113) = 53.48、p < 0.001)

・社会不安、GAD、およびOCD症状のレベルは、うつ病のレベルではなく、特異的にIUSのスコアと関連

 

コメント

変数が思ったより多くて、読みにくいところもあったが(略語おぼえられない…)、IUと社会不安の共通性と特異性をきれいにあぶり出したいい研究だと思った。ステップワイズの教科書的な使い方で、自分が使える分析の復讐にもいい気がする。

 

論文

Boelen, P. A., & Reijntjes, A. (2009). Intolerance of uncertainty and social anxiety.
Journal of Anxiety Disorders, 23, 130–135. doi:10.1016/j.janxdis.2008.04.007