コーヒー1杯の暖かさ

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ウイルス的に行く:COVID-19パンデミック時のフェイクニュースの検出と拡散に恐怖、社会認知的分極化、問題解決能力がどのように影響を与えるか (Salve et al., Frontiers in Communication, 2021)

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みなさんこんにちは。

微かに混じり合う教育と心理学とアートと。じんぺーです!

今日も論文を読んでいきます!

 

 

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ウイルス的に行く:COVID-19パンデミック時のフェイクニュースの検出と拡散に恐怖、社会認知的分極化、問題解決能力がどのように影響を与えるか (Salve et al., Frontiers in Communication, 2021)

結論から言うと、認知的硬直性、代替情報の無視、白黒思考を反映した構成要素が、フェイクニュースとリアルニュースを見分ける能力を否定的に予測する。

 

背景

■世界的なパンデミック時にフェイクニュースを信じて拡散することは、公衆衛生上の緊急事態を悪化させる重大な懸念

・誤報は、個人間の協力を妨げる結果となって、分裂的な政治的イデオロギーを推進することによって、道具化されてきた(Stella et al., 2018)

・今回の調査では、イタリアと米国におけるCOVID-19パンデミックの初期の盛り上がりの中で、フェイクニュースを信じ、共有する個人の傾向に寄与する特定の社会的、認知的、感情的要因について、より良い理解を得ることを試みた

■なぜネガティブなニュースはポジティブなニュースよりも早く反応するのか?

・警戒心:それがフェイクであろうとリアルであろうと、ニュースが恐怖を誘発して警戒心を抱かせる傾向がある

・情報の必要性

■思考や推論の個人差がフェイクニュースを信じる傾向を変調させることがわかっている

・CRTを解くことと、フェイクニュースとリアルニュースを見分けることとの間には正の相関関係がある(例えば、Pennycook and Rand, 2017):分析的な思考者は、確かにフェイクニュースを信じることへの抵抗力が高い

・問題解決能力がフェイクニュースを発見する可能性の高さに関係し、COVID-19に対する恐怖が問題解決能力の悪化につながるという仮説を立てた

■曖昧さへの寛容さは、創造性と問題解決力を予測することが知られている性格の形質として確立 (Merrotsy, 2013)

・人々は知覚された脅威に対してストレス、回避、遅延、抑制、否定などで反応する(Budner, 1962; MacDonald, 1970; McLain, 1993; Furnham and Ribchester, 1995; Iannello et al., 2017)

・絶対主義によって捉えられた曖昧さに対する不寛容さが、フェイクニュースを信じることと関連しているのではないかと仮説を立てた

 

方法

参加者:イタリア人292名,アメリカ人273名

手続き:COVID-19パンデミックのピーク時(イタリア:2020年4月3日~24日、米国:2020年4月14日~28日)

・12の正統的な見た目のニュース記事をゼロから作成:6つのニュースの見出しは事実に忠実なもの(リアルニュース)、6つの見出しは偽物(フェイクニュース)

・各ニュース記事について、参加者は以下のように質問された

(1) その記事をよく知っているかどうか

(2) その記事がどの程度正確だと思っているか

(3) その記事をソーシャルメディアで共有するかどうか

・COVID-19について知るために参加者が通常参照していたニュースソースの種類についての情報を、複数回答の質問(選択肢:日刊紙またはオンライン新聞、テレビニュース、ソーシャルメディアまたはニュースアグリゲート、政府のウェブサイト、ラジオ、ポッドキャスト)を用いて収集

・COVID-19に対する認識、感情、行動について6つの質問

質問紙

・うそつき受容性スコア(BRS)

・オーバークレーム質問票の短縮版:一般的な知識の質問に対する親しみやすさについて質問されたときに、人々が「自己強化」する傾向があると考えられている

・問題解決能力は、2つの認知課題のパフォーマンスを測定する:レバスパズル解決課題とCRT

・社会認知的分極化(SCP)

(MAASの絶対主義、Xenophobia、保守主義)

 

結果

アメリカサンプル

・COVID-19では、積極性がフェイクニュースの見分け方と正の相関(r = 0.15, p < 0.05)(積極性は、ニュートラル(r = 0.15, p < 0.05)、およびCOVID-19に対する恐怖(r = 0.31, p < 0.01)とも正の相関)

・BRSはCOVID-19に対するフェイクニュースの見分け方と負の相関(r = -0.13, p < 0.05)、恐怖とは制の相関(r=0.16)

・COVID-19の識別の最もユニークな認知的予測因子はSCP [β = -0.22, 95% CI = (-0.3, -0.1), p < 0.001]とオーバークレーム[β = 0.16, 95% CI = (0.06, 0.26), p = 0.01]

 

イタリア人サンプル

・積極性はCOVID-19ニュースのフェイクニュースの見分け方(r = 0.18, p < 0.01)および共有(r = 0.18、p < 0.01)と正の相関

・BRSはCOVID-19の恐怖と正の相関を示した(r = 0.17, p < 0.05)

・COVID-19の識別力を予測する因子は、積極性[β=0.19、95%CI=(0.1, 0.29), p < 0.01]と年齢[β=0.14、95%CI=(0.04, 0.23), p < 0.05]であり、LASSOでは積極性が最もユニークな(正の)予測因子であることが確認

・中立的な識別力を予測した唯一の因子はSCP [β = -0.21, 95% CI = (-0.31, -0.11), p < 0.001]であり、これはLASSOが最もユニークな(負の)予測因子として同定

 

まとめ

・COVID-19恐怖がCOVID-19関連の情報探索に有益な役割を果たす可能性があることが強調

・COVID-19の恐怖とフェイクニュースの見分け方の変数との間には、どちらのサンプルにおいても有意な相関はなかった

・両サンプルとも参加者は中立的なフェイクニュースよりもCOVID-19のフェイクニュースを見分ける可能性が高い(米国:t(269)=10.524、p = 0.001;イタリア:t(299)=18.554、p < 0.001)

・COVID-19恐怖は、アメリカ人[β = -0.20, 95% CI = (-0.3, -0.1), p < 0.01]とイタリア人[β = -0.24, 95% CI = (-0.33, -0.14), p < 0.001]の両方のサンプルで問題解決タスクのパフォーマンスを負に予測

 

コメント

1番知りたかった絶対主義と問題解決能力(行動で測られた)の関係がわからなかったのが残念(MAASと行動の研究がない…)。単回帰分析と重回帰分析を同時に示すのがわかりやすくていいなあと思った。一方で、LOSSOってなんだろう、知らないことまだまだあるなあ。

 

論文

Salvi, C., Iannello, P., Cancer, A., McClay, M., Dunsmoor, J., & Antonietti, A. (2021). Going Viral: How Fear, Socio-Cognitive Polarization and Problem-Solving Influence Fake News Detection and Proliferation During COVID-19 Pandemic. Frontiers in Communication. 5. https://doi.org/10.3389/fcomm.2020.562588