コーヒー1杯の暖かさ

心理学を研究する大学院生が、研究もそこそこちゃんとやりながら、日本の教育に一石を投じます。

美的アハ体験:ゲシュタルトに繋がる洞察を得た時の喜び (Muth & Carbon, Acta Psychologica, 2013)

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みなさんこんにちは。

微かに混じりあう教育と心理学とアートについて発信しています。じんぺーです!今日も論文を読んでいきます。

 

 

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美的アハ体験:ゲシュタルトに繋がる洞察を得た時の喜び (Muth & Carbon, Acta Psychologica, 2013)

背景

■流暢さの理論では、処理が流暢であればあるほど評価が高くなると仮定(Reber et al., 2004)

・プロトタイプ(Winkielman, Halberstadt, Fazendeiro, & Catty, 2006)や対称的な刺激(Reber, 2002)に対する選好性

・これらの古典的な知見は、新規性や革新性を高い報酬や好感度と関連付ける知見と矛盾(Blijlevens et al., 2012, Carbon and Leder, 2005, Wittmann et al., 2007)

・時にアートは、知覚的な挑戦の様々な例を提供し、時には全く解決不可能な矛盾(Meinhardt, 2009)と「曖昧さ、覚醒、不確実性の状態」(Jakesch & Leder, 2009, p. 2105)を引き出す

→美的鑑賞の研究に流暢さ以外の要素を取り入れる必要性を指摘

■第三の研究では、簡単な刺激も難しい刺激も好まれないが、中程度の曖昧さが最大の快感をもたらすとしている(Jakesch & Leder, 2009)

・覚醒(新規性による)と親しみやすさ(原型性による)の両方が、独立しているとはいえ、美的鑑賞に寄与していることが強調されている(Blijlevens et al. 2012)

→処理しやすい刺激と処理しにくい刺激の魅力を説明する統一的な理論的基盤が欠けている

 

方法

参加者:20~59歳の30人(Mage=29.5歳、SD=9.4、女性18人、男性12人)

刺激:2回の事前調査に基づいて選択された36枚の写真で構成されており、それぞれ「顔」または「非顔」のカテゴリーに属する18枚の写真

手続き:絵がどれくらい好きかを選択する好感度ブロック,顔がどれだけはっきりと見えているかを判断する鮮明度ブロック,人間の顔とどれだけ似ているかを判断する類似度ブロックからなる

→洞察とは、参加者と刺激ごとに、後続の2つのブロック間で、それぞれの顔の鮮明度または類似度が最も高くなったことによって定義された(=すべての差の最大値:参加者と刺激ごとに、ブロックnからブロックn-1を引いた値)

 

結果

・どちらのタイプの洞察も顔刺激の好感度に大きな影響を与えたが、好感度は洞察を受けた直後にのみ有意に上昇したという事実が、両側検定のペアードt検定で明らかになった

・非顔刺激も我々の定義によれば洞察を誘発したが、洞察の前後での好感度の差は有意ではなかった

・洞察の強さ(明晰度や類似度として定義される)は、好感度に直接的な影響を与えていた

・ブロックにわたる好感度の発達の分析では、Zajonc (1968)やその後の「単なる暴露効果」に関する文献が当初想定していたような、時間の経過とブロックの進行とともに好感度が上昇したという証拠は見られなかった

 

 

コメント

面白いデザインと結果。俳句も数秒ずつ何回か提示して、Aesthetic Ahaが起こったところで好感度が上がりそうだ、とは思った。一方で、ただ単に問題解決の文脈で語られるだけではもったいない気がするので、最後に書いていたCognitive Ahaとの相違についてはもう少し知りたいところ。

 

論文

Muth, C., & Carbon, C. C. (2013). The Aesthetic Aha: On the pleasure of having insights into gestalt. Acta Psychologica, 144, 25-30. doi:10.1016/j.actpsy.2013.05.001