コーヒー1杯の暖かさ

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不確実性マネジメント理論の自己への拡張-正義・社会比較志向・反社会的労働行動の関係性 (Thau et al., Journal of Applied Psychology, 2007)

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みなさんこんにちは。

微かに混じり合う教育と心理学とアートについて発信していますじんぺーです。

今日も論文を読んでいきます。

 

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Uncertainty Management Theoryについての勉強会が今週末にあるので、それに向けた論文を何本か読んでいきます!

 

不確実性マネジメント理論の自己への拡張-正義・社会比較志向・反社会的労働行動の関係性 (Thau et al., Journal of Applied Psychology, 2007)

 

背景

■多くの研究は、従業員が不当に扱われるとき、それらが組織またはそのメンバーに害を与える行動を示す可能性が高いことを示している

・従業員が組織やその当局との関係を社会的な交流と見なしている

■不確実性管理理論(UMT; Lind & Van den Bos, 2002; Van den Bos & Lind, 2002, for overviewsを参照)

・人々は不確実性に直面したときに、公平性の情報に最も依存する

・フェアプロセス効果に対する不確実性の影響は、自己領域にも拡張することができる

・公正な手続きが感情の尺度に及ぼす正の効果は、自己不確かさに直面していない人よりも、自分の死を思い出したとき(Van den Bos & Miedema, 2000)や、自分自身について不確かさを感じた状況を思い出さなければならないとき(Van den Bos, 2001a)のほうが強い

・不確実性の状況下では、公平性の判断が訴訟請求(Lind, Greenberg, Scott, & Welchans, 2000)、肯定的・否定的感情(Van den Bos, 2001b, Van den Bos & Miedema, 2000;)、世界観防衛(Van den Bos, Poortvliet, Maas, Miedema, & Van den Ham, 2005)などの様々な結果に強い影響を与えることが示されている

▶これらの研究では検討されていないのは、自己不確かさを慢性的に比較的安定的に経験することで、特定の人々にとって公平性の情報が状況を超えてより重要なものになるかどうかということ

■UMTによると、公平性の一つの機能は、人々の生活における不確実性を減らすことである

・予測可能性と不確実性の低減の必要性はおそらく生得的なものであり、これは不確実性の回避がどのような社会圏においても基本的なものであるという考えにつながる

・高い不確実性を経験している人は、低い不確実性を経験している人よりも、環境中の公正さの手掛かりに注意を向けるように動機づけられるべきである

■人々が不確実性を経験しているときには、公正さが従業員の行動にとってより重要

・公正さが、搾取されることへの不安、心配、疑念を軽減するから

■社会比較志向

・社会比較理論(Festinger, 1954)によると、自分自身に自信がない人は、他人に対する自分の意見、態度、行動を評価しようとする動機が強くなる

・自己の側面について慢性的に不確かな状態にある人は、自己理解を高めるために常に社会的比較に従事していると提案

・むしろ、絶えず他の人と自己を比較するプロセスは自己についてのより深く、より根本的な不確実性の表現かもしれない

▶社会的比較志向は自尊心と負の相関があり、社会不安、神経症、およびうつ病と正の相関があることを発見した

▶社会比較を頻繁に行う傾向のある従業員の仕事行動には、比較を頻繁に行わない従業員の仕事行動に比べて、正義感がより強い影響を与えるという仮説を立てた

 

方法

参加者:従業員129名,上司264名,27人の監督者から提供

尺度

・相互作用的正義:6項目「上司が親切に接してくれる」「上司が私の意見を考慮してくれる」など

・手続き的正義:5項目「正式な手続きは、決定とその実施に関する有益なフィードバックを提供するように設計されている」など

・社会的比較志向:11項目「他の人がどのようにしているかと比較して、自分がどのようにしているかに常に注意を払っている」

・反社会的労働行動:8項目「職場で誰かを罵った」「公に誰かを非難した」など

 

結果

・反社会的労働行動に対する手続き的正義×社会的比較志向の相互作用効果は有意ではなく、仮説を支持できなかった

・反社会的労働行動に対する相互作用的正義×社会的比較志向の相互作用効果は有意であった

▶社会比較志向が低い(b = -0.04, t = -0.61, ns)人よりも高い(b = -0.20, t = -3.39, p < 0.01)人の方が、相互作用的正義と反社会的労働行動との負の関係がより強い

 

コメント

UMTをもとにして社会的比較志向と正義の価値観(とその相互作用)がどのように反社会的労働行動に影響を与えるかを検討した研究。UMTの公正さに注目していたけど、UMTを引っ張ってこなくてもよかったんじゃないかと思ってしまうようなストーリーだった?レビューしてくれていたのはとても参考になった。

 

論文

Thau, S., Aquino, K., & Wittek, R. (2007). An extension of uncertainty management theory to the self: The relationship between justice, social comparison orientation, and antisocial work behaviors. Journal of Applied Psychology, 92(1), 250–258. https://doi.org/10.1037/0021-9010.92.1.250