コーヒー1杯の暖かさ

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異文化コミュニケーションの有効性、文化的知性と知識の共有 不安・不確実性マネジメント理論の拡張 (Presbitero & Attar, International Journal of Intercultural Relations, 2018)

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みなさんこんにちは。

微かに混じり合う教育と心理学とアートについて発信していますじんぺーです。

今日も論文を読んでいきます。

 

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異文化コミュニケーションの有効性、文化的知性と知識の共有 不安・不確実性マネジメント理論の拡張 (Presbitero & Attar, International Journal of Intercultural Relations, 2018)

結論から言うと、不安は知識共有と有意かつ負の関係にあることが示された。同様に、不確実性は知識共有に有意かつ負の関係があることが示され、さらに、異文化間コミュニケーションの有効性が上記の関係を媒介し、メディエーションの最初の段階(すなわち、不安-異文化間コミュニケーションの有効性と不確実性-異文化間コミュニケーションの有効性の関係)がCQによってモデレートされていることが示された。

 

背景

■Anxiety-Uncertainty Management理論(Asingle bondUM理論; Gudykunstら、1988; Gudykunst、1995、1998、2005)

・理論は主に不安および不確実性が対人およびグループ間の出会いのコミュニケーションの有効性に影響を及ぼすことができると主張

・個人は不安のレベルを管理し、他者の態度や行動を正確に予測することができれば、効果的にコミュニケーションをとることができる

・A-UM理論に関するこれまでの研究(例:Gudykunst, 1995, 2005)では、マインドフルネスの役割や異なる文脈や視点に対する感受性が、不安・不確実性と異文化間コミュニケーションの有効性との関係を中和すると主張してきた

・Berger and Calabrese (1975)のUncertainty Reduction (UR)理論から派生したもの

・アシングル・ボンドUM理論をUR理論と区別する特徴は、アシングル・ボンドUM理論が個人の役割をさらに精緻化し、コミュニケーションの有効性に文化的多様性を取り入れていることである(Gudykunst, 1995)

■CQ

・CQは、異文化の状況で効果的に機能するための知識、スキル、メタ認知資源からなる個人の能力セットとして文献では概念化

・知性の一形態としてのCQは、異文化コミュニケーションの有効性に対する不安と不確実性の両方の負の影響を軽減し、結果として知識の共有に影響を与えることで、モデレーターとしての役割を果たすと主張

・異文化間の相互作用は予測不可能であり、心理学的にも厳しいものであり(Molinsky, 2007)、そのため、高いレベルの不安や不確実性を引き起こす可能性

■知識の共有

・知識の共有は他に情報および知識を与え、配る傾向として文献で定義される(Gagne、2009年)

・自分の知識を他の人に伝えることと、他の人から知識を受け取ることを組み合わせた関係性のある行為

 

目的

異文化コミュニケーションの有効性の潜在的な近因である知識の共有、すなわち、他者から知識を受け取るだけでなく、自分の知識を他者に伝達するという送り手と受け手の関係に基づく関係行為を検討することによって、A-UM理論を拡張する

 

方法

参加者:オーストラリアのメルボルンに拠点を置く多国籍企業の従業員285名

尺度

・不安:11項目「異文化の人々とコミュニケーションをとっているときはいつも不安を感じる」など

・不確実性:5項目「異文化の人々とコミュニケーションをとっているときはいつでも、何を期待していいのかわからない」など

・CQ:5項目「私の異文化コミュニケーションは常に成功している」など

・知識の共有:4項目「私は組織内の知識を効果的に共有している」

 

結果

・不安、不確実性、CQ、異文化間コミュニケーションの有効性、知識共有をそれぞれ独立した単一の因子として扱う5因子モデルが、データとモデルの間に最適なフィット

・不安が知識共有と有意かつ負の関係にあることを示しており(β = -0.45; se = .10; p < .02*)、不確実性もまた、知識共有と有意かつ負の関係にあることが示された (β = -.50; se = .23; p < .00**)

・異文化間コミュニケーションの有効性は、不安と知識共有、および不確実性と知識共有の関係においてメディエーターとしての役割を果たしており(β = -.14; se = .05; p < .01**; β = -0.22; se = .15; p < .01**)

・不安(不確実性)と異文化間コミュニケーションの有効性の間の負の関係は、CQが高い条件下では弱くなる

 

コメント

不確実性管理理論という同じ言葉だけど、原著は別な人のものを引用していて、分野によって、だいぶ違うバックグラウンドがありそう(1つ前の論文は、労働・仕事系、これはコミュニケーション系)。もう少し勉強しないと…

 

論文

Presbitero, A., & Attar, H. (2018). Intercultural communication effectiveness, cultural intelligence and knowledge sharing: Extending anxiety-uncertainty management theory. International Journal of Intercultural Relations, 67, 35–43.