コーヒー1杯の暖かさ

心理学を研究する大学院生が、研究もそこそこちゃんとやりながら、日本の教育に一石を投じます。

自己概念は社会的脳ネットワークにおける活動を予測するか?遺伝的な節度効果(Ma et al., Social Cognitive and Affective Neuroscience, 2014)

f:id:jin428:20210303191217j:plain


みなさんこんにちは!

微かに混じり合う教育と心理学とアートについて発信していますじんぺーです。

今日も論文を読んでいきます。

 

www.jinpe.biz

 

自己概念は社会的脳ネットワークにおける活動を予測するか?遺伝的な節度効果(Ma et al., Social Cognitive and Affective Neuroscience, 2014)

結論から言うと、l/l遺伝子型群では自己概念スコアと、自分や母親の精神的属性を反映する際の内側前頭前野、両側中前頭前野、側頭頭頂接合部、島皮質、海馬の活動との間に有意な関連が認められたが、s/s遺伝子型群では認められなかった。

 

背景

■社会的認知

・自己と他者に関する情報を処理することで構成されており ( Iacoboni, 2006 ; Sedikides and Skowronski, 2009 )、適切な社会的コミュニケーションや行動に重要な役割を果たしている

■社会的認知は、人間の脳内に分布する神経ネットワーク(社会脳ネットワークと呼ばれている)によって媒介されている

・自分の性格や社会的役割の反映などの自己処理は、腹内側前頭前皮質(vmPFC)、帯状前庭/後帯状体、側頭頭頭頂接合部(TPJ)で行われている

・社会脳ネットワークの活動は、研究室でのパフォーマンス(Ma and Han, 2011など)と日常生活での行動(Ma et al. , 2011 ; Falk et al. , 2010など)の両方を予測することができる

■社会脳ネットワークの活動は文脈に依存し、社会文化的経験の影響を受ける

・他人に対する精神状態の判断では、日本人よりもアメリカ人の方が両側のTPJと右dmPFCの活動が強い

・自分の属性を振り返ると、デンマーク人ではmPFCの活動が強くなるが、中国人ではTPJの活動が大きくなる

・自己反省の基礎となるmPFCとTPJの活動は、特定の文化的特徴の個人差と関連している(すなわち、自己概念の相互依存性)

■特定の遺伝子多型が社会脳ネットワークの神経活動に影響を与える

・5-HTTLPRは人格形質の自己反省に関わる神経活動を調節する

・s/sキャリアでは、l/lキャリアと比較して、自分の好ましくない性格特徴を内省する際に、dACC/dmPFCと右前島状突起(AI)の活動が強くなり、より強い苦悩感情を示したことが明らかになった

■脳領域

・mPFCは、性格的特徴、身体的属性、社会的役割についての自己反省時に一般的に活性化

・TPJは社会的役割の自己内省時に関与

・小脳前庭、上側頭溝、小脳は身体的属性の自己内省時に関与

 

方法

■参加者:s対立遺伝子にホモ接合の中国人大学生22名とl対立遺伝子にホモ接合の中国人大学生18名

■手続き

・精神的属性(すなわち性格的特徴)、身体的属性(すなわち身体的外見)、社会的属性(すなわち社会的役割)の3つの属性を記述する単語やフレーズのカテゴリがあり、それぞれ80項目ずつ:各参加者に提示された形容詞は、半分が肯定的な属性、半分が否定的な属性で構成

・人差し指または中指を使って2つのボタンのうち1つを押すことで、与えられた単語/フレーズが自己(自己判断)、母親(母親判断)、または性別が一致した有名なスポーツ選手(有名人判断)を表しているかどうかを判断

・低レベルの感覚・知覚処理と運動反応を制御するために、単語・フレーズが太字か薄字かを判定(フォント判定)

・Self-esteem Scale ( Rosenberg, 1965 )、SCS ( Singelis, 1994 )、および三次元性格質問票のHarm avoidance subscale ( Cloninger et al. , 1993 )を記入

 

結果

■すべての参加者において、相互依存性の尺度が、mPFC、TPJ、上頭頂皮質、島皮質、海馬などの社会的脳ネットワークにおける自己と母親の処理中の活動と相関していることを実証

■mPFC、両側中前頭前野、両側TPJ、上頭頂皮質、左海馬、小脳の活動に有意な遺伝子と相互依存性の相互作用

・精神的属性の自己反省に関連するこれらの脳領域における相互依存性と神経活動の関係は、l/lキャリアでは有意であったが、s/sキャリアでは有意ではなかった

・相互依存性が高いl/lキャリアでは、mPFC、左前頭前野、左海馬、小脳でより強い活性化を示したが、両側のTPJではより弱い活性化
■自分と母親についての内省中の社会的脳ネットワークにおける複数の脳領域の活動が、同じ文化的特徴のレベルが異なる同じ文化的グループの個人間で有意に異なる

 

コメント

遺伝子、文化的自己観、脳領域と変数が増えると読むのもなんだか疲れるけど、これからこの類のやつもっと読んで慣れたい。あと図が見やすいからMRIする時まねしたい。

 

論文

Ma, Y., Wang, C., Li, B., Zhang, W., Rao, Y., & Han, S. (2014). Does self-construal predict activity in the social brain network? A genetic moderation effect, Social Cognitive and Affective Neuroscience, 9(9), 1360-1367. 
https://doi.org/10.1093/scan/nst125