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MiiとWiiのスイッチング:文化的プライミングが社会的情動N400に及ぼす影響 (Fong et al., Culture and Brain, 2014)

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みなさんこんにちは!

微かに混じり合う教育と心理学とアートを考えていますじんぺーです。

今日も論文を読んでいきます。

 

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MiiとWiiのスイッチング:文化的プライミングが社会的情動N400に及ぼす影響 (Fong et al., Culture and Brain, 2014)

結論からいうと、東アジア系アメリカ人の二文化参加者が相互依存値でプライミングされた場合、不一致の感情刺激に対しては、一致した感情刺激よりも大きなN400sを示した一方で、独立した価値観でプライミングした場合、異文化参加者は不一致刺激に対してより大きなN400を示さなかった。

 

背景

■文化、特に個人主義と集団主義は、豊かさや近代化、文化の定着などにより、大きなスパンでしか変化しない、相互に排他的で比較的静的な構成要素として概念化されている(Triandis 2000)

■二文化二重性のメカニズムとして、個人が複数の、そして実際には対照的な自己の概念を持っているという概念化は有用

・個人主義的プライムと集団主義的プライムを用いた他の研究では、自己への影響(例:Trafimow et al. 1991)、認知の複雑さ(例:Tadmor et al. 2009)、文化的価値観(例:Briley and Wyer 2002)、幸福感(例:Chentsova-Dutton and Tsai 2010; Oishi 2000)に至るまで、行動への影響の頑健なパターン

・独立したプライミングでは、自己に対する右前頭の活動が他者に対する活動よりも大きくなったが、相互依存的なプライミングでは活動に差は見られなかった

・プライミング条件が「慢性的」な文化的志向とミスマッチしている場合、文化的に典型的なN2効果は除去されるが、プライミングが慢性的な文化的志向と一致している場合にはN2に影響はない

■Nisbettら(2001)は2種類の認知処理スタイルを概念化

・全体的認知:全体的処理は文脈や対象物間の関係性に大きな注意を払う必要がある

・分析的認知:文脈に関係なく対象物の属性や特徴の恒常性を強調する

・東アジア人はフィールドと背景の文脈に注目し、それが埋め込まれているフィールドを無視して物体に焦点を合わせることが、顕著な物体や焦点のある物体に注目するヨーロッパ系アメリカ人よりも難しい(Nisbett et al. 2001; Nisbett and Miyamoto 2005)

・増田ら(2008)は、日本人と欧米人では、社会的文脈に由来する表情の判断が異なることを発見しました。日本人は、中心となる顔の感情を見るとき、欧米人に比べて周囲の顔をよく見て、周囲の顔に由来する情報を取り入れる傾向

 

方法

■参加者:東アジア系アメリカ人の学部生33名とヨーロッパ系アメリカ人の学部生31名

■手続き

・2つのプライミング課題、シュメール戦士物語課題(Trafimowら1991)および修正された友人や家族との類似点と相違点課題(SDFF課題、Trafimowら1991)からなる10分間のプライミング手順

・人物の漫画画像:背景刺激は、4人の人物のグループからなる120のユニークな画像で構成。

・合致するペアリングでは、背景(周囲)の人物が全員同じ感情を表現している(例:全員が幸せそうな表情をしている)。不一致ペアリングでは、背景の人物の表情と焦点人物の表情が一致していない(例えば、背景の人物が幸せな表情をしていて、焦点人物が悲しそうな表情をしている)

・自己解釈尺度

・焦点となる人物が幸せか悲しいかを判断する課題:両手で同時に「1」を、フォーカルオブジェクトが悲しかった場合、彼らは "2 "を押すように指示

 

結果

■自己解釈尺度

・東アジア系アメリカ人(M = 4.06、SD = 0.50)は、ヨーロッパ系アメリカ人(M = 3.81、SD = 0.52)より相互依存的

・相互独立的自己観には有意差なし

■操作チェック

・プライミングが評価に及ぼす主効果は、F(1, 48) = 115.25, p < 0.001で、相互依存プライミング条件(M = 3.80, SD = 1.21)の評価は、独立プライミング条件(M = 1.73, SD = 0.89)の評価よりも高い(より相互依存性が高い)

・民族性のわずかに有意な主効果があり、F(1, 48) = 3.07、p = 0.09であった。アジア系アメリカ人参加者(M = 2.94、SD = 0.15)は、ヨーロッパ系アメリカ人参加者(M = 2.56、SD = 0.15)と比較して、両プライムの評価が高い

■N400:民族集団(アジア系アメリカ人、ヨーロッパ系アメリカ人)×プライム(相互依存、独立)×一致条件の反復測定ANOVA

【前正中線電極】

・一致の主効果があり、F(1, 50) = 8.37, p = 0.006で、N400は一致試行よりも不一致試行の方が陰性

・アジア系アメリカ人では、プライミングと一致性の相互作用(F(1, 25) = 4.98, p = 0.04)があり、相互依存性のあるプライミングの後では、一致性のある表情よりも非一致性の方が有意に大きいN400(t(25) = 3.11, p = 0.005)があった

・独立したプライミングの後では、非一致条件と一致条件の間のN400に有意な差はなかった(t(25) < 1, ns)

・欧州系アメリカ人では、自己解釈×一致度の交互作用なし(F(1,25) < 1, ns)

▶アジア系アメリカ人のみがN400不整合効果を示し、これは相互依存プライミング後にのみ認められた

■アジア系アメリカ人では、相互依存プライミング条件で観察されたN400効果に左内側側頭葉の活動が寄与していることが示された

■二文化人は、相互に依存的にプライミングされた場合にはアジア系アメリカ人のサンプルのような情報を意味的に処理するが、独立してプライミングされた場合には欧米人のサンプルのような情報を処理

 

コメント

おもしろい研究と考察。アジア系アメリカ人は2文化民族だから、独立的プライミングだと、アメリカ人の相互独立的自己観が際立ち、依存的プライミングだと、相互独立的自己観が際立つ、きれいな結果。低高文脈社会というよりもHolistic-Analiticの用語で俳句の方を説明した方がいい気もしてきた。先行研究もっと読まなきゃ。

 

論文

Fong, M. C., Goto, S. G., Moore, C., Zhao, T., Shudson, Z., & Lewis, R. S. (2014). Switching between Mii and Wii: The effects of cultural priming on the social affective N400. Culture and Brain, 2, 52–71.