コーヒー1杯の暖かさ

心理学を研究する大学院生が、研究もそこそこちゃんとやりながら、日本の教育に一石を投じます。

予測プロセスと音楽の特異なケース(Koelsch et al., Trends in Cognitive Sciences, 2019)

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みなさんこんにちは。

微かに混じり合う教育と心理学とアートを考えていますじんぺーです。

今日も論文を読んでいきます。

  

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予測プロセスと音楽の特異なケース(Koelsch et al., Trends in Cognitive Sciences, 2019)

■予測符号化

・予測誤差は、より良い予測を導くために階層を上昇させる

・聴覚の場合、この階層は、聴覚の脳幹と視床、一次聴覚皮質、聴覚連合皮質、前頭皮質から構成

・知覚プロセスが単に受動的でボトムアップ的なものではなく、トップダウンのプロセスによって知覚が能動的に動かされる建設的なものである

■音楽は、予測脳の基礎を理解するための最も明快なパラダイムを提供

・あらゆる種類の音楽が予測可能な規則性(例えば、時間的、旋律的、そして音楽文化や音楽の伝統によっては、和音、音色、質感の構造)に基づいているから

・予測不可能な(例えば、ランダムな)感覚の流れとは対照的に、音楽構造は、可能な結果についての競合する仮説や予測を提供し[9]、特定の音楽の伝統や文化があれば、特定の予測を確認することで不確実性を払拭する

・シンコペーションのレベルが低い規則的に構成されたリズムは、わずかな予測誤差しかフィードフォワードしない

・シンコペーションのレベルが高くなると、メーターが不明瞭になり、予測の精度が損なわれることになる

■PCにおける「証拠の無視」と「注意」を理解するためには、「内容」の予測と「文脈」の予測を区別する必要

・「内容」とは、何が聞こえるかという期待のこと(次に何が聞こえてくるかを予測できるかどうか)

・「文脈」とは、その期待に置かれた精度や信頼性のこと(その内容を正確に予測できるかどうかの予測)

・正確な予測誤差は、より上位の階層で信念の更新を引き起こすのに対し、不正確な予測誤差は事実上無視される

■被験者が予測不可能な聴覚的文脈にさらされていることを認識している場合のミスマッチ否定性(MMN)の研究によく表れている

・MMNは、標準的な音の繰り返しの中に「変人」や「奇人」が現れた場合に誘発される、脳の特異な電気的反応

・いくつかの研究では、逸脱した音がこれから発生することを知っている場合、MMNは影響を受けないことが示唆

▶持続時間[28]や音程[29]の逸脱を示す視覚的な手がかりは、MMNの振幅(および待ち時間)に影響を与えない。また,参加者がボタンを押して自分で音を出しても,MMNの振幅と遅延は変化しない

▶MMNに関しては,事前の知識や信念は予測エラーの処理を変調させないようである

・MMNは、音響的な不規則性を繰り返すと減衰し、注意や予測可能性の予測には比較的影響を受けないのに対し、ERANは、構文的な不規則性に繰り返しさらされても持続するが、差し迫った結果に関する知識には多少敏感

 ■和音の知覚における予測

・私たちは調性音楽(したがって長音階)に慣れ親しんでいるので、音階の最後の音は予測され、また予測可能

▶音階の先行する文脈があれば、高い精度で(つまり、高い信頼性で)予測することができる

 ・古典的なMMN が現在進行中の聴覚入力の規則性に依存しているのとは対照的に、ERANは現在の聴覚を超越した統語的知識に依存している

 ・これは、音楽構文の規則性が長期記憶に表現されるため

・P3aとP3bは提示ごとに系統的に減少したのに対し、ERANの振幅には系統的な減衰は見られなかった

・不規則な和音は,知らされていない(A),知らされている(B)にかかわらず,右前早期陰性化(ERAN)を引き起こし,その振幅は条件(知らされていない,知らされている)間で有意な差はなかった、参加者が知らされていない場合にのみP3aが、参加者が配列の終わりを知らされている場合にのみP3bが誘発

 ▶差し迫った構文上の逸脱を知っていると、予測エラーの反応の待ち時間が短くなる

 

コメント

ちょっと難しくて理解しきれなかった…

音楽がPredictive Codingを研究する上で有用なツールということはわかったし、予測には内容の予測と、予測可能性(文脈)の予測の2つがあって、EARNという脳波成分で検討できそうということはなんとなくわかった。俳句も定型ががっちり決まっているからこそ、山頭火とかの無季自由律とかそこまでいかなくても、字余り、字足らずで十分に反応しそうだなと思った。PCやるためのいい材料では?

 

 

論文

Koelsch, S., Vuust, P., & Friston, K. (2019). Predictive processes and the peculiar case of music. Trends in Cognitive Sciences, 23, 63-77.