コーヒー1杯の暖かさ

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日本語版Levels of Emotional Awareness Scale(LEAS-J)の信頼性と妥当性について(Igarashi et al., Biopsychosocial Medicine, 2011)

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みなさんこんにちは!

微かに混じり合う教育と心理学とアートを考えていますじんぺーです。

今日も論文を読んでいきます。

 

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日本語版Levels of Emotional Awareness Scale(LEAS-J)の信頼性と妥当性について(Igarashi et al., Biopsychosocial Medicine, 2011)

 

背景

■自身の感情を意識的に認識することは,自身の感情状態や表現行動を意識的に制御することを含む,情動知能の前提条件

・感情認識のレベルが高いほど,身体的・精神的な健康状態が良好

■LaneとSchwartzは、Piagetの認知発達理論に基づいて、感情認識を「レベル」に分ける理論構成を提案

・良好な信頼性と妥当性が報告されているLEAS(Levels of Emotional Awareness Scale)を開発

(レベル0)無感情

(レベル1)生理的手がかりの認識

(レベル2)行動傾向の認識

(レベル3)単一の特定の感情の伝達

(レベル4)2つ以上の分化した感情の伝達

(レベル5)2つ以上の分化した感情を2人以上の人に伝達

・LEASは、「悲しみ」「怒り」「恐れ」「喜び」などの感情と、それらの感情のブレンドを表現する20のシナリオで構成

・各シナリオの登場人物は、自分(Self)と他人(Other)で、参加者は、シナリオに対して自己と他者がどのような感情を抱くのか、自分の予想を短いエッセイ形式で説明するよう求められる

・アレキシサイミアの被験者のように,自分の感情経験を記述する能力が限られており,かつ未分化な個人をテストする場合,自己報告法には重大な限界

▶このような自己報告型の測定法とは対照的に、LEASを使用する場合、受験者は感情認識に関する自分の能力を評価する必要はなく、受験者の記述は試験官によって適切な感情認識のレベルに配置

・LEASは、訓練された評価者が厳密に定義された採点構造に従って記述された回答を判断して採点する、情動能力を評価するためのパフォーマンスベースの指標

■LEASを日本のように文化の異なる国に適用する場合は、対人関係に焦点を当てたシナリオを文化的背景に合わせて修正する必要があることを考慮する必要

・情動意識のレベルを調べる際には、情動の文化的規制を考慮

 

方法

■参加者:日本人学生380名

■LEAS-Jの開発

・感情認識のレベルをパフォーマンスベースで測定するもの

・怒り:「駐車場で車のバッテリーを充電してもらう」というシチュエーション

・LEAS-Jの採点は,2人の著者(T.I.とH.N.)がそれぞれ独立して行い,各シナリオで自己と他者に帰属する感情関連語を分類

■尺度

・社会経済的地位:両親の職業を報告し、報告された123の職業は、都築[11]によって提案された日本の職業威信スコアに基づいて、ハイクラス、ミドルクラス、ロークラスのヒエラルキーに分けられた

・20項目のトロントアレクシチミア尺度:3つの下位尺度:(a)感情を識別することの難しさ(DIF)、(b)他人に感情を説明することの難しさ(DDF)、(c)外向的思考(EOT)

・IRI

・NEO-FFI

 

結果

■女性のLEAS-Jスコアは、すべての下位尺度で男性よりも高かった

■両親の職階が被験者のLEAS-Jスコアに与える影響を調査

・父親と母親の職業には、LEAS-Jスコアへの有意な影響は見られなかった

■相関

・TAS-20との相関では、EOTのみがLEAS-JのSelfスコアと有意に負の相関

・IRIに関しては、LEAS-JのSelf、Other、Totalスコアは、FS(r = 0.15, p < 0.01; r = 0.12, p < 0.05; r = 0.15, p < 0.01)、PT(r = -.12, p < 0.05)と有意な正の相関

・LEAS-JのSelf、Other、TotalスコアがE(r = .17, p < 0.01; r = .11, p < 0.05, r = . 16, p < 0.01)、O(r = .19, p < 0.001、r = .15, p < 0.01、r = .20, p < 0.001)、A(r = .16, p < 0.01、r = .17, p < 0.01、r = .19, p < 0.001)と有意に相関

・LEAS-Jスコアは,すべての下位尺度でLEASスコアよりも低かった

 

コメント

自分の感情状態をどのくらい把握できているかを表す指標としてジョイスティック実験の時に取ろうと思っていたけど、シナリオに対して抱いた感情を書いてもらうのにも時間がかかるし、採点にも時間と労力がかかるので、あきらめようかなと思う…マインドフルネス傾向を取っておけばよいかな。

 

論文

Igarashi, T., Komaki, G., Lane, R. D., Moriguchi, Y., Nishimura, H., Arakawa, H., …
Maeda, M. (2011). The reliability and validity of the Japanese version of the Levels of Emotional Awareness Scale (LEAS-J). Biopsychosocial Medicine, 5(2), 1-9. https://doi.org/10.1186/1751-0759-5-2