コーヒー1杯の暖かさ

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複雑な感情に直面する:顔の感情表現の分析的知覚と全体的知覚は、それぞれ別の脳ネットワークで行われる(Meaux & Vuilleumier, NeuroImage, 2016)

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みなさんこんにちは!

微かに混じり合う教育と心理学とアートを考えていますじんぺーです。

今日も論文を読んでいきます。

  

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複雑な感情に直面する:顔の感情表現の分析的知覚と全体的知覚は、それぞれ別の脳ネットワークで行われる(Meaux & Vuilleumier, NeuroImage, 2016)

結論から言うと、顔全体が構成されている場合には、STSと前頭前野(IFG/OFC)が優先的に活動するが、孤立した部分では早期視覚野とパルビナールが活動する

 

背景

■顔の識別

・他の種類の視覚物体とは異なり、主に基本的な特徴の符号化(すなわち分析的処理)に依存するのではなく、これらの特徴を全体的に統合する(すなわち全体的/構成的処理)ことに大きく依存

・感情表現を解読する能力は、顔認識システムが媒介するもう一つの重要な機能であり、人間の社会的相互作用に大きな役割を果たす

・顔の同一性と表情は分離可能な経路で処理されると考えられている

■全体的,分析的処理

・全体的処理は、顔の表情を分類するのに、純粋に局所的な分析ではなく、グローバルな視線戦略が用いられることを示すアイトラッキングのデータからも支持されてい

・全体論とは対照的に、目や口などの顔の特定の領域が、感情表現を認識するための重要な手がかりになると主張する研究者

▶顔の表情を処理することは厳密には全体論的でも分析的でもないことが示唆されている

■Brain研究

・顔の認識には、顔状皮質(特に「FFA」)と後頭皮質(「OFA」)の特定の視覚領域が関与

▶主にアイデンティティの認識に重要な形状の手がかりを抽出する

・側頭溝(STS)、扁桃体、島皮質、線条体、中前頭前野(mPFC)、眼窩前頭前野(OFC)、下前頭回(IFG)など、情動や社会的機能に関連する皮質下の構造や高次の皮質も関与

▶表情に明示的な注意を向けると、STSと前頭前野の活動が高まり、感情の分類に関与している可能性がある

 

方法

■参加者:健康なボランティア26名(女性13名、平均年齢±s.d.=25.9±5.5)

■刺激:NimStim Face Set (Tottenham et al., 2009) から選んだグレースケールの画像

・怒り顔20枚,喜び顔20枚,中立顔20枚の刺激セットを作成

・鼻梁の高さで、下半分と上半分に分けられました。そして、これらの画像から3つの実験条件を作成

・一致表情は、喜怒哀楽の表情を描いたオリジナルの写真(n=40)を使用した

・不一致表情は、同一人物の一方の表情(喜怒哀楽)の上端と他方の表情(喜怒哀楽)の下端を組み合わせた合成画像であった(n=40)

 

結果

■タスク中の異なる顔の構成、異なる感情の種類、異なる顔のパーツのターゲット間で効率スコアを比較する反復測定ANOVA

・顔の構成による主効果(F(2,46) = 57.49, p = 0.00, η2 = 0.71)と,感情*顔の構成による有意な交互作用(F(2,46) = 16.77, p = 0.00, η2 = 0.42)が見られた

・全体的な感情認識は、一致している場合の方が孤立している場合(p = 0.042)および不一致の場合(p = 0.0001)よりも効率的であり、後者は孤立している部分に比べてパフォーマンスが低かった(p = 0.00012)

▶両感情カテゴリーにおいて、顔全体の構成(異なる特徴をまとめたもの)が表情の認識に影響を与えることを示す証拠

■アイトラッキング

・反復測定ANOVA:

・600msから800msまではEMOTIONの主効果(F(1, 20) = 8.7323, p = 0.0078, η2 = 0.31)

・全区間ではCONFIGURATIONの主効果(400msから600ms: F(2, 40) = 6.6528, p = 0.0032, η2 = 0.25; 600-800 ms: F(2, 40) = 8.0729, p = 0.0011, η2 = 0.28; 800-100ms: F(2, 40) = 4.7020, p = 0.015, η2 = 0.19)

▶PCR(瞳孔収縮反応)は、怒りの表情の方が喜びの表情よりも大きく(p = 0.007)、不一致の条件の方が孤立した条件(400-600ms:p = 0.002、600-800ms:p = 0.00、800-1000ms:p = 0.018)、一致した条件(600-800ms:p = 0.022、800-1000ms:p = 0.025)よりも大きい値を示した

■Brain

・情動の主効果を示す脳領域を特定:

・情的な顔(喜怒哀楽、一致と分離)と中性的な顔(一致と分離)に対する反応を比較すると、感情的な表情に対する活性化(p < 0.001 または 0.05 FDR 補正)は、主に右の踵溝、舌状回、豆状回、左の島、頭頂皮質(IPL と SPL)、中枢領域(運動皮質と SMA)、両側の下前頭回などの広範囲の視覚領域で見られた

■一致する表情、一致しない表情、孤立した表情を比較:

・一致した表情:不一致な表情よりも後頭側領域に多く見られた:この領域には、両側のOFA、豆状回(FG)(FFAの上と周辺)、左IPL、両側のプルビナール、上前頭回(SFG)などが含まれる

・不一致した表情:前頭前野(両側下前頭回(IFG)、外側眼窩前頭皮質(OFC)、右後方のSTS、midTGなど)で大きかった

・両側のfusiform gyrus(FFAとOFAの上と周辺)の外部領域は、一致した表情に対してより大きな活動を示し(すなわち全体的な処理)、STSと両側の下OFCは一致しない表情に対してより多くの反応を示した(すなわち特徴的な処理)

・孤立した構成と不一致の構成で誘発される活性化を比較した結果、後頭部(FGと舌回)、吻側のACC、SFG、プータミンは、孤立した部分に対してより活発に反応

▶意味のある顔の表情の全体的な表現を処理すると、OFA、FFA、扁桃体などの顔の処理に関連する後頭側頭領域が特異的に働くことを示唆

▶顔の特徴が一致しないことで生じる非日常的な表情は、STSやmidTGなどのより背側・外側の側頭領域や、腹側の前頭前野領域(IFGやOFC)をリクルート

■ROI

・構成(一致,孤立,不一致)*感情(喜怒哀楽)*環境(左,右)を因子とする反復測定ANOVA
・pSTSでは、CONFIGURATIONの主効果(F(2,48) = 5.65, p = 0.006, η2 = 0.19)とHEMISPHEREの主効果(F(1,24) = 7.80, p = 0.011, η2 = 0.24)

▶ポストホック解析の結果、pSTSは、孤立した表情よりも不調和な表情に(p = 0.009)、また調和した表情に(p = 0.011)、より多く反応することがわかった

pSTSの活性化は、左よりも右の方が全般的に高かった(p=0.011)

FFAでは、一致した表現に対する反応が、孤立した部品(p = 0.035)や不一致(p = 0.0.42)の条件よりも大きかったことから、一致の主効果(F(2, 48) = 3.68, p = 0.032, η2 = 0.14)も明らかになった

OFAにおいても、同様のANOVAを行ったところ、構成の主効果が浮き彫りになった(F(2, 48) = 3.62, p = 0.0.34, η2 = 0.13)。合致する表現は不一致の表現よりも大きな活性化を示した(p = 0.026)

・扁桃体では、CONFIGURATIONとHEMISPHEREの間に有意な相互作用が見られた(F(2,48) = 4.36, p = 0.017, η2 = 0.16)。一致した表情は、孤立した表情(p = 0.001)および不一致の表情(p = 0.041)よりも右の扁桃体でより多くの活動を誘発したが、左ではそうではなかった

・一致しない表情を処理する際に、STSが両側のIFGおよびOFCと共働する

 

コメント

要因が少し多くて、理解しきれていないところはあるが、STS(上前頭溝)が不一致(つまり、幸せと怒りが混ざった顔)の顔刺激に反応することが分かれば、引用できる。もう少しこの類の論文をよむ。

 

論文

Meaux, E., & Vuilleumier, P. (2016). Facing mixed emotions: Analytic and holistic perception of facial emotion expressions engages separate brain networks. NeuroImage, 141, 154 –173. http://dx.doi.org/10.1016/j.neuroimage.2016.07.004