コーヒー1杯の暖かさ

心理学を研究する大学院生が、研究もそこそこちゃんとやりながら、日本の教育に一石を投じます。

セロトニン累積遺伝スコアとBehavioral Approach System(BAS)との関連:幼少期の環境による変調(Pearson et al., Personality and Individual Differences, 2014)

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みなさんこんにちは!

微かに混じり合う教育と心理学とアートを考えていますじんぺーです。

今日も論文を読んでいきます。

 

 

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セロトニン累積遺伝スコアとBehavioral Approach System(BAS)との関連。幼少期の環境による変調(Pearson et al., Personality and Individual Differences, 2014)

結論から言うと、個々の候補遺伝子多型と幼少期の逆境との間には有意な相互作用は見られなかったが、CGSは幼少期の逆境と相互作用して、BASの有意な変動(11.6%)を説明した。

 

背景

■BAS

・Behavioral Approach System (BAS; Carver & White, 1994)は、報酬プロセスとポジティブな感情に関連する生体行動システム

・BASはパーソナリティの基本的な次元であると考えられており、Cloningerの新奇性の追求(Cloninger, 1986)やEysenckの外向性(Eysenck, 1947)などの次元と関連

・BASの感受性が高い人は、潜在的な報酬をもたらす刺激にさらされたときに、より肯定的な感情や目標に向けた活動を経験

・BASは多様な精神病理学に関与:BASが高いと躁状態になりやすく(Alloy & Abramson, 2010)、BASが低いとうつ状態になりやすい(Kasch, Rottenberg, Arrow, & Gotlib, 2002)

・初期の有害な環境は、BASの中心となる報酬プロセスを変化

・ヒトでは、トラウマを持つ子どもは、対照群に比べて報酬の価値に対する感受性が低い

・Brain:幼少期に不幸な体験をした人は、対照群と比較して、左基底核の活動が低下し(Dillon et al., 2009)、報酬を予測する際に腹側線条体を活動させることができなかった(Mehta et al., 2010)

■遺伝子

・ネガティブな環境にさらされたすべての人が、報酬感受性の低下を経験するわけではない

・ドーパミン系とオピオイド系に焦点を当てている研究が多いが (Spanagel & Weiss, 1999)、これらのプロセスにおいてセロトニンが果たす重要な役割についての認識が高まっている

・セロトニン機能は、双極性障害(Nugentら、2013年)やうつ病(Owens & Nemeroff、1994年)など、不適応な報酬プロセスに関連する精神病に関与

・セロトニンの機能が低下すると、予想される報酬の大きさを評価することが難しくなる

■5-HT1A

・5-HT1Aアゴニストである8-OH-DPATを投与すると、げっ歯類では報酬が増加し(Ahnら、2005年)、サルではコカインの報酬特性が強化される(Czoty, McCabe, & Nader, 2005年)

 

方法

■参加者:263名▶236名の参加者(平均年齢=28.3歳、SD=8.42、53%が白人、61%が女性)

■手続き

・Carver and WhiteのBIS/BASスケール(1994)のBASスケールで測定:BASは13項目からなり、BAS fun seeking(4項目)、BAS reward responsiveness(5項目)、BAS drive(4項目)の3つの尺度から構成

・環境的逆境は、Childhood Trauma Questionnaire(CTQ)の簡易版を用いて測定:それぞれ5項目からなる5つの下位尺度(感情的虐待,身体的虐待,性的虐待,感情的ネグレクト,身体的ネグレクト)で構成

 

結果

■BASの総得点を予測するために、遺伝子型と幼少期の逆境の相互作用を検証した各モデルの結果

・どのモデルも、統計的有意性の調整済みしきい値(p < .007)を通過しなかったが、rs7305115(TPH2)、rs6311(HTR2A)、rs6295(HTR1A)の3つの候補が統計的有意性に近づいた

▶これら3つの多型と幼少期の逆境がBASの総得点と下位尺度の得点に及ぼす影響を検討

■BASの総得点を予測する上で、CGSと幼少期の逆境との間に有意な相互作用があることが示された(F(5, 224) = 4.08, p = 0.001)

・モデル全体(主効果と交互作用)では分散の11.63%を占め、交互作用だけではBAS総得点の分散の8.04%を占めた

・リスク対立遺伝子が5個(b = -.19, SE = 0.07, p = 0.004)および6個(b = -.49, SE = 0.20, p = 0.015)のグループの負の傾きは、いずれも0から有意に異なっていた

■虐待を受けていない場合は、CGSスコアが高いほど報酬感受性が高い

 

コメント

昨日に引き続きCGSと、BAS、幼少期の虐待とを調べた研究。

この研究でもGG型はリスクが低いとされていてアレキシサイミアの研究と一致しない感じがする。なんでだろう。

 

論文

Pearson, R., McGeary, J. E., & Beevers, C. G. (2014). Association between serotonin cumulative genetic score and the behavioral approach system (BAS): Moderation by early life environment. Personality and Individual Differences, 70, 140–144