コーヒー1杯の暖かさ

心理学を研究する大学院生が、研究もそこそこちゃんとやりながら、日本の教育に一石を投じます。

セロトニン2A/1A受容体の刺激が社会的排除処理に及ぼす影響(Preller et al., PNAS, 2016)

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みなさんこんにちは。

微かに混じり合う教育と心理学とアートを考えていますじんぺーです。

今日も論文を読んでいきます。

  

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セロトニン2A/1A受容体の刺激が社会的排除処理に及ぼす影響(Preller et al., PNAS, 2016)

結論から言うと、Psi投与群では、社会的排除感が減少し、社会的苦痛の処理に重要な領域である背側前帯状皮質(dACC)および中前頭回において、社会的排除に対する神経反応が減少したと報告された

 

背景

■近年、セロトニン(5-ヒドロキシトリプタミン(5-HT))システムは、14種類の5-HT受容体を含み、気分、感情、学習、記憶の制御に重要な役割を果たしているだけでなく、社会的認知にも関与していることが示唆されている

シロシビン(4-ホスホリロキシ-N,N-ジメチルトリプタミン(Psi))は,セロトニン作動性の幻覚剤であり,用量依存的に感覚,感情,思考,自己意識の変化を特徴とする意識変容状態を引き起こす

・Psiは、5-HT1A、5-HT2A/C、5-HT6、5-HT7の各受容体に高い親和性で結合

・ヒトでは、Psiは速やかに脱リン酸化されてpsilocin(4-N,N-ジメチルトリプタミン)となり、5-HT2Aおよび5-HT1A受容体の部分的なアゴニストとして作用

・注目すべきは、Psiが社会的認知に関与する前頭前野の脳領域の神経活動を調節すること

・適度な量のPsiは、5-HT2A受容体の活性化を介して、気分を高めたり、ネガティブな感情刺激(ネガティブな表情や脅威に関連した場面など)の処理を弱めたりすることが示唆

■脳機能

社会的苦痛は、一貫して脳活動の増加と関連している:主に前帯状皮質(ACC)で観察されるが、島皮質、下眼窩前頭皮質、中前頭回(MFG)でも見られる

・5-HT1A受容体刺激は、安静時の内側前頭前野の神経細胞の興奮を低下させ、5-HT2A受容体刺激は、低下と増加の両方に関連している

 

方法

■参加者:健康な21名の参加者(男性12名、女性9名、平均年齢26.48歳、SD4.76歳、範囲20~37歳)

■デザイン

(i) ISE(技術的な問題でインターネットに接続できなかったが,他の参加者がプレイしているのを見ることができる)

(ii) INCL(接続できたので,他のプレイヤーと一緒にプレイできる)

(iii) ESE(参加者が5回ボールを投げた後,ゲームから除外された(すなわち,スキャンの残りの時間,他のプレイヤーが参加者にボールを投げるのをやめた)

■質問紙

・Need Threat Scaleの4つの質問:社会的自尊心(「他の参加者が自分をどの程度評価してくれていると思うか」)、有意義な存在(「人生は無意味だ」という記述はどの程度正しいか」)、コントロール(「自分の人生は自分でコントロールできる」という記述はどの程度正しいか」)、帰属意識(「自分はグループに属しているとどの程度感じるか」)を評価

・仲間はずれの強さ:2つの質問(「他の参加者から無視されたり排除されたりしたとどの程度感じたか」と「他の参加者から注目されたり仲間に入れられたりしたとどの程度感じたか」)で測定

・5D-ASC:一体感の体験、霊的体験、至福状態、洞察力、体外離脱、制御と認知の障害、不安、複雑なイメージ、初歩的なイメージ、視聴覚共感覚、知覚の意味の変化についてスコアを算出

 

結果

■ (5D-ASC) 質問票

・治療の有意な主効果 [F(1, 20) = 93.54, P < 0.001] とスケールの有意な主効果 [F(10, 200) = 18.98, P < 0.001] および治療とスケールの有意な交互作用 [F(10, 200) = 19.67, P < 0.001] 

・PsiとPlaの処理を比較すると,すべての5D-ASC尺度の評価が上昇

・収縮期および拡張期血圧、脈拍は、Plaと比較してPsi投与後にわずかではあるが有意に上昇

■サイバーボール

・Psi投与後、Pla投与後に比べて排除感が減少したと報告

■MRI

・Pla条件の「明示的な社会的排除を受けていない(ESE)>包括を受けている(INCL)」対比:社会的排除処理に一般的に関連する脳領域(ROI)、すなわち、両側前部心室細動皮質(aMCC)、両側後部心室細動皮質(pMCC)、左下OFC、両側MFGに有意な活性化

・Pla条件とPsi条件で「ESEを受けていない>INCLを受けている」コントラストを比較:右aMCCと左MFGで有意に少なかった

▶Psi投与が社会的苦痛の処理を減少させることを示唆

・Pla条件の「暗黙の社会的排除(ISE)を受けていない>INCLを受けている」対比:左の前・後MCCと右の前頭ACCに有意な活性化

・Psi条件では、右MCCの活性化の差と5D-ASCスケールの「一体感の体験」との間に有意な正の相関が見られた

■MRS測定に使用したdACCボクセルのPla条件とPsi条件の活動量の差と、Psi条件のベースライン補正された代謝物濃度、およびPsiのフォローアップ測定の代謝物濃度について、相関分析

・ESEを受けていない>INCLを受けている」という対比で計算されたdACCボクセルの活性と、ベースライン補正したアスパラギン酸(Asp)濃度との間には、有意な相関関係が得られた(r = 0.80, P < 0.001, n = 19; Fig. 2B)

 

コメント

今回も1Aと2Aの拮抗関係についてはよく分からなかった…

 

論文

Preller, K. H., Pokorny, T., Hock, A., Kraehenmann, R., Stãmpfli, P., Seifritz, E., Scheidegger, M., & Vollenweider, F. X. (2016). Effects of serotonin 2A/1A receptor stimulation on social exclusion processing. Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America, 113(18), 5119–5124. https://doi.org/10.1073/pnas.1524187113