コーヒー1杯の暖かさ

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指揮者のジェスチャーにおける表現の知覚:連続応答研究(Luck et al., Music Perception, 2010)

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みなさんこんにちは!

微かに混じり合う教育と心理学とアートを考えていますじんぺーです。

今日も論文を読んでいきます。

  

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さっそくいきます!

 

指揮者のジェスチャーにおける表現の知覚:連続応答研究(Luck et al., Music Perception, 2010)

結論から言うと、表現力の高いジェスチャーは、振幅が大きく、分散が大きく、動きのスピードが速いことを特徴とするジェスチャーによって伝えられることがわかった。

 

背景

■身体的な行動と音楽表現の知覚との関係

・音楽家の表現意図は視覚だけで知覚できることが示されている(Davidson, 1993, 1995)

・表現的な身体の動きは観察者の演奏に対する興味の度合いに影響を与える(Broughton & Stevens, 2008)

・表現力のある身体の動きは、特定の感情的意図を識別するための決定要因となることもある

・音楽家ではない人にとって、表現方法の違い(deadpan、projection、exaggerated)を最も明確に特定するのは視覚モードであることを発見

・頭や肩は、指や手首、腰に比べて、全体的に移動距離が長く、表現意図の違いが大きいことがわかり、身体の部位の可動域と表現力との間に正の関係があることがわかった

■chubert (2001)によると、これらの次元のうち最初の2つ(感情価を表すhappy-sad、活動を表すactive-inactive)は、音楽-感情の文献で頻繁に見られるという

・しかし、パワーについてはあまり言及されておらず、感情空間におけるその役割もあまり明確に定義されていない

・本研究では、参加者に指揮のジェスチャーを点光源で提示し、知覚された感情表現を4つの尺度(価値、活動、力、および全体の表現量)で連続的に評価してもらった

・指揮における左右の手の伝統的な役割を考慮すると、表現力の評価は左手の動きの特徴とより強く関連していることが予想

▶右手は主に時間を管理するために使われるのに対し、左手は伝統的に表現を伝えるために使われる(Rudolf, 1980)

 

方法

■参加者:24名の被験者(平均年齢=24.6歳、SD=2.7、女性=16名)

■刺激準備

・キャリアの浅いプロの指揮者2名(いずれもフィンランドのSibelius Academyの指揮コースに在籍)が、約40人の器楽奏者と歌手からなるアンサンブルを指揮している間のジェスチャーを、光学式モーションキャプチャーシステム(Qualisys ProReflex)で記録

・各指揮者の手(中指の付け根)、手首、肘、肩に取り付けられた8個の反射型マーカー

・振幅,速度,滑らかさなど,さまざまな表情や動きを持つ6曲(計10分)を刺激として選び,その動きのデータを6本のQuickTimeムービーに変換

■手続き

・6つの刺激は,知覚された活動,価値,強さ,および全体的な表現の評価のために,それぞれ1つずつ,4つの同じブロックで提示されました。ブロック内の提示順序は毎回ランダムにした

 

結果

■4つの次元の評価は、アクティビティとパワーが非常に高い相関を示したことを除いて、おおむね中程度の相関を示した

■回帰分析

・動きの特徴を参加者の感情評価の予測因子として入力

・各分析では,11個の動作変数を同時に入力した。12回の分析すべてで有意なモデルが出現した

・表現:右手のy位置(右手を高く持っているときに知覚された表現が大きい)と両手の加速度に正の関係があり、左手のx位置(左手を体に近づけて持っているときに知覚された表現が大きい)とジャークに負の関係があった

・感情価:知覚された価値観の評価は,右手のy位置と速度とジャーク,左手の速度とジャークに正の関係があり,右手と左手の加速度に負の関係があった

・活動:手の間の距離,右手のy位置,速度,ジャーク,左手の速度,ジャークと正の関係にあり,左手のx位置,加速度と負の関係

・力:知覚されたパワーの評価は,右手のy位置,両手のスピードとジャークに正の関係があり,左手のx位置,両手の加速度に負の関係があった

・全体として,回帰モデルは,参加者の4つの次元の評価の分散の50〜75%を説明した(平均分散=表現力56%,価数64%,活動性65%,パワー61%)

 

コメント

時系列分析の詳細をもう少し書いて欲しい…

相関とか、予測された評価と実際の観測値の表示はわかりやすかった。

 

論文

Luck, G., Toiviainen, P., & Thompson, M. R. (2010). Perception of expression in conductors’ gestures: A continuous response study. Music Perception, 28(1), 47–57. https://doi.org/10.1525/mp.2010.28.1.47