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心理学研究のための時系列分析:変化の検証と予測(Jebb et al., Frontiers in Psychology, 2015)

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みなさんこんにちは!

微かに混じり合う教育と心理学とアートを考えていますじんぺーです。

今日も論文を読んでいきます。

  

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さっそくいきます!

 

心理学研究のための時系列分析:変化の検証と予測(Jebb et al., Frontiers in Psychology, 2015)

時系列分析は多くの分野で頻繁に利用されていますが、心理学の研究にはあまり取り入れられていなかった

・データ収集に制約があるため、縦断的な研究がわずかな時点に限られることが多いため

・このような現実的な制限があっても、長期間または多くの機会における変化のパターンを理解するという理論的な必要性がなくなるわけではない

・心理学的プロセスは本質的に時間に拘束されるものであり、真に時間に依存しない理論は存在しないと言える(Zaheer et al., 1999)

・最近の技術的成長により、時系列設計を盛んにするデータ収集の変化がすでに始まっている(例:オンラインでの行動をリアルタイムで定量化し、追跡することができるようになったことで、アクセス可能で豊富な時系列データが得られるように)

・経験サンプリングの手法は何十年も前から使われているが(Larson and Csikszentmihalyi, 1983)、スマートフォンなどの新しい技術によって、この手法はますます実現可能になり、回答者への負担も少なくなり、結果として時系列データが急増

・心理学と神経科学の統合が進んでいるため(感情神経科学、社会認知神経科学など)、時系列法と強く結びついている神経画像データを分析する能力は、強力な方法論的資産となっている

 

既存の心理学文献の調査

・時系列モデリングを用いた36の実証論文が得られた

・時系列を他の実質的な変数と関連付ける(17誌)

・重要な出来事や介入の効果を調べる(9誌)

という2つの一般的な分析目標が存在

▶学者が時系列データ分析のために主に記述的または因果的な説明モデルを使用していることを示す(Shmueli, 2010)

・時系列分析が最もよく見られる分野(計量経済学、金融、大気科学など)では、実務上の重要な意思決定に関わるため、予測が主な目的となることが多い

▶その結果、統計的時系列の文献は、説明ではなく予測を目的としたモデルが主流となっており(Shmueli, 2010)、応用時系列分析に関するほとんどすべての書籍が予測法に特化している

 

今回の事例では、Googleでのオンライン検索の頻度を時系列で集計した「Google Trends」のデータを用いて、オンラインでの求職行動に着目

・米国におけるオンライン求人検索の頻度と、2008年の経済危機がこれらの割合に与えた影響に関心

・主な研究仮説は、この危機的な出来事によって、検索回数が急激に増加し、それが長期にわたって持続するというもの

・重要なのは、この時系列の値は、生のGoogle検索回数ではなく、より扱いやすいデータセットにするために正規化(0〜100)したもの

 

時系列分析の特徴

・時系列とは、あるプロセスの時間的に順序づけられた観測のセットであり、観測の間隔は一定である

・時系列の長さは様々だが、一般的には少なくとも20個の観測データがあり、多くのモデルは正確な推定のために少なくとも50個の観測データを必要とする (McCleary et al., 1980)

・時系列の変動や動きは、トレンド成分、季節成分、周期成分、不規則成分の4つの部分に分けられる(Persons, 1919)

 

【トレンド成分】

・トレンドとは、時系列のレベルの系統的な変化、すなわち長期的な方向性を指す

・(a)明示的にモデル化する:トレンドが理論的に興味深いものである場合に行われる

・(b)数学的な変換によって除去する:この成分が分析の目的(厳密な予測など)に関係しない場合に行われる

・分析者は分析の目的を確立し、時系列データのどの部分に関心を持つかを決定し、それに応じて処理する必要

【季節性成分】

・時系列の季節性成分は、その期間中一貫して発生する時系列の増加と減少の繰り返しパターン

・季節効果の存在に関心を持つ人もいるかもしれないが、いったん特定されると、この変動要因は季節調整と呼ばれる手順によって時系列から取り除かれることが多い

・簡単に言えば、「季節調整は、情報を大幅に失うことなく、より簡単に解釈できるようにデータを単純化するために行われる」

【周期成分】

・時系列の周期時系列の周期的な成分は、季節的な成分と概念的には似ている

・季節性の効果は期間が一定で、暦の一部(日、月など)に関連しているのに対し、周期性の効果で表されるパターンは期間が一定ではなく(つまり、その長さはサイクルごとに異なることが多い)

【ランダム性】

・不規則な成分は統計的ノイズを表し、様々なタイプの統計モデルに含まれる誤差項(例えば、一般化線形モデリングにおけるランダム成分)に類似している

・時系列分解:時系列を視覚的に調査するために、時系列分解と呼ばれる手順で時系列をこれらの各構成要素に正式に分割することがよくある

 

自己相関

・ある変数の現在の状態が過去の状態に部分的に依存することがある

・変数が異なる時点で自分自身と相関している場合(系列依存とも呼ばれる)

・自己相関は社会科学の現象に遍在している

・心理学の分野では、感情や覚醒などの個人レベルの状態に関連した構成要素は、しばしば以前の状態に左右されることが提案されている(Wood and Brown, 1994)

・Fullerら(2003)は、時系列法を用いて、現在の仕事のストレスは、前日のストレスの度合いと負の関係にあることを発見

・統計学的には、自己相関とは、ある変数とその変数の過去の期間におけるピアソン相関のことで、自己相関のラグと呼ばれている

・ラグの長さが長くなると(つまり、値が時間的に離れていくと)、自己相関の強さは一般的に減少

・時系列における強い正の自己相関は、時系列の平均値よりも上または下の値の「ラン」としてグラフに現れる

・負の自己相関は、正の値が負の値に追随する傾向があるなど、ランがないことが特徴

 

 

論文

Jebb, A. T., Tay, L., Wang, W., & Huang, Q. (2015). Time series analysis for psychological research: Examining and forecasting change. Frontiers in Psychology, 6(JUN), 1–24. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2015.00727