コーヒー1杯の暖かさ

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ナイーブな脳による詩のハーモニーの暗黙の検出(Vaughan-Evans et al., Frontiers in Psychology, 2016)

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みなさんこんにちは!

微かに混じり合う教育と心理学とアートを考えていますじんぺーです。

今日も論文を読んでいきます。

 
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ナイーブな脳による詩のハーモニーの暗黙の検出(Vaughan-Evans et al., Frontiers in Psychology, 2016)

 結論からいうと、経験の浅い被験者は、詩の規則に従った文と規則に違反した文とを明確に区別しなかったが、オーソドックスな文章の場合、クリティカルワードは他の条件と比較して、ターゲット検出に特徴的な脳反応(P3b)を引き起こし、この特殊な詩の専門知識を持たないウェールズ語の話者が、詩の調和を暗黙のうちに検出していることを示した

 

背景

■T. S. エリオット「本物の詩は、理解される前に伝えることができる」

■詩とは、感情、思考、アイデアを文学的に表現したもので、伝統的にはメートル法の制約、韻を踏むこと、叙情的な表現によって強調

・韻律違反は、瞳孔反応を増加させ(Scheepers et al., 2013)、意味処理の脳電位指標であるN400の振幅を変調させることが示されている(Hoorn, 1996)

■Cynghanedd(ウェールズ語で「調和」の意)

・子音の正確な反復(または内的な韻)と明確なストレスパターンを必要とする古代の詩形(Greene, 2012)

・Cynghaneddの文章は、サブレクシス(音韻的顕著性)とレキシカル(ストレスパターン)のレベルで前景化する特徴で構成

・これらの特徴はそれぞれ独立して美的鑑賞に影響を与えることが知られているが(例えば,Aryani et al.2013; Chen et al.2016),それらの相互効果は不明

・本調査では,Cynghaneddの規則を遵守するか,子音の繰り返し,ストレスパターン,あるいは子音の繰り返しとストレスパターンの両方の点で規則に違反するテスト文を作成

■ERP

・P3bは、オッドボール・パラダイムでよく観察されるERPコンポーネント

 

方法

■参加者:ウェールズ語を流暢に話す25名の参加者(男性9名、女性16名)

■刺激:実験文は、4つの文で構成された36セット、合計144の文で構成

・実験文の25%はCynghaneddの規則に従っており、残りの75%は子音の繰り返し(25%)、ストレスパターン(25%)、または子音の繰り返しとストレスパターンの両方(25%)の点でCynghaneddの規則に違反

■手続き

・参加者は144文すべてを3つのセクションに分けて見た

・実験終了後,参加者は36の文セットのリストを提示され,各セットの文を好みの低い順に順位付けするよう求められた(1=最も好み,4=最も好みではない)

 

結果

■オンラインカテゴリー化課題

・文章タイプの主効果は、F(3,72) = 8.63, p < 0.001, η2p = 0.26

・シンガネッド文は、コンソナタル違反文(M = 58%; 95% CI [51, 65]; p = 0.005)やストレス違反文(M = 55%; 95% CI [50, 60], p < 0.001)と比較して、「良い」と分類される確率が高いが(M = 65%; 95% CI [60, 70] )、ブル違反文(M = 63%; 95% CI [58, 69], p = 0.38)

・Double violationセンテンスはConsonantal violationセンテンス(p = 0.04)やStress violationセンテンス(p = 0.001)よりも「良い」と分類される確率が高かった

■オフライン文ランキングタスク

・1サンプルt検定の結果、参加者は偶然よりも有意にCynghaneddの文章を最良の選択肢としてランク付けしなかった

■電気生理学的データ

・文型の主効果は、F(3,72) = 3.149, p = 0.03, η2p = 0.12:Cynghanedd文はConsonantal violation文よりも大きな平均振幅(M = 5.93, 95% CI [4.86, 7.01])を誘発した(M = 5)

・ストレス違反文(M = 4.88, 95% CI [3.58, 6.17]; p = 0.002)、ダブル違反文(M = 5.00, 95% CI [3.90, 6.09]; p = 0.007)よりも、より大きな平均振幅(M = 5.93, 95% CI [4.86, 7.01]; p = 0.01)を示した

・効果の分布は頭頂部

・P3bの平均振幅は,右(M = 6.05, 95%CI [5.01, 7.09])の方が左(M = 4.37, 95%CI [3.39, 5.36])よりも大きく,ラテラリティに有意な効果

 

コメント

詩のストレスと韻を操作してERPを検討した研究。詩の特徴は明示的には認識できていなくても、暗黙的にはしっかりと区別されているのはおもしろい。

 

論文

Vaughan-Evans, A., Trefor, R., Jones, L., Lynch, P., Jones, M. W., & Thierry, G. (2016). Implicit detection of poetic harmony by the Naïve brain. Frontiers in Psychology, 7(NOV), 1–7. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2016.01859