コーヒー1杯の暖かさ

心理学を研究する大学院生が、研究もそこそこちゃんとやりながら、日本の教育に一石を投じます。

人工知能作品に対する消費者の情動と認知の反応:驚き,脅威,擬人化の役割に着目して(Code, 2020)

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みなさんこんにちは!

微かに混じり合う教育と心理学とアートを考えていますじんぺーです。

今日も論文を読んでいきます。

  

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さっそくいきます!

 

人工知能作品に対する消費者の情動と認知の反応:驚き,脅威,擬人化の役割に着目して(Code, 2020)

背景 

■人工知能の創造性

・詩をAIが書いたのか人間が書いたのかを選ぶコンテストがあり、人々は誰が詩を書いたのか分からなかった(Robitzski 2018)

・日本のAIプログラムが共著した小説が、文学賞の一次選考を通過したこともある(Olewitz 2016)

■計算創造性というAIの新しいサブフィールド

・Boden (1998)は、AIはPcreativityに焦点を当て、これを発展させてH-creativityに到達するべきだと提案

・現在、AIは、身近なアイデアの組み合わせから新しいものを作ることができ(組み合わせ的創造性)、あるスタイルを応用して新しい結果を出すことができ(探索的創造性),構造化された概念空間を変換することもできる(transformational creativity)

・「確立されたスタイルからの逸脱を最大化し、芸術分布からの逸脱を最小化する」という「CAN(Creative Adversarial Networks)」という新しいシステムを提案した(Elgammal et al. 2017)

■ほとんどの先行研究(Chamberlain et al. 2018; Hong and Curran 2019; Kirk et al. 2009; Ragot and Martin 2020)では、AIアートやコンピュータアートに対して否定的な認識を示した

・フォトショップで加工された画像は、アートギャラリー由来のラベルが貼られた画像と比較して、美的感覚が低いと評価された(Kirk et al.2009)

・画像の出所がコンピュータ(対人間)の場合、絵画の美的評価は低くなった(Chamberlain et al.2018)

■驚きと興味

・人は適度な不整合を好み(Mandler 1982; Meyers-Levy and Tybout 1989)、シュールレアリズムのアート(Swami et al. 2012)や革新的な製品(Noppers et al. 2015)など、斬新で予想外のものに近づくこともある

・驚きが感情であるかどうかについては、感情価を持たないことから、研究者の間でも意見が分かれる(Ortony et al. 1988)

・最近の研究では、驚きは短期間の中立的な感情であると考えられている(Kim and Mattila 2010; Vanhamme and Snelders 2001)

・興味は通常、ある刺激を斬新で理解しやすいと評価したときに経験する(Berlyne 1970; Silvia 2005)

・関心は、アーティストへの関心とアーティストの絵画への関心に分けて考える

・アーティストの信頼性が、アーティストや絵画に対する態度、ひいては消費者の行動意図に影響を与えることが示されている

■擬人化

・人間以外の物体に人間らしい特徴を吹き込む「擬人化」(Epley et al. 2007)は、通常、ポジティブな効果(Mourey et al. 2017; Riek et al. 2009; Salem et al. 2013)

・擬人化された非人間について判断するとき、人間について判断するときと同じ脳領域が活性化されるという神経科学的な証拠(Castelli et al.2000)

・擬人化が視覚的・言語的描写によって人間のスキーマを刺激し(Epley et al. 2007; Guthrie 1993)、擬人化された実体の行動や評価に影響を与える

■目的

・作品が(1)AIアーティスト、(2)AIアーティストと人間のアーティストのコラボレーション(本研究では「コラボレーション」と呼ぶ)、(3)人間のアーティストのいずれによって制作されたかによって、消費者の興味の感情が変化する

・アーティストが(1)擬人化されたAI、(2)擬人化されていないAI、(3)人間のいずれであるかによって、消費者の絵画への関心が異なる

・般的な評価や審美的な評価に焦点を当てるのではなく、AIアートが創造性や芸術に関する私たちの考えと不一致であることに焦点を当てる

 

研究1

■参加者:Prolificの参加者473名(年齢=33.26、女性59.8%、

・3(アーティストタイプ:AI vs. コラボレーション vs. 人間)×2(絵画タイプ:具象 vs. 抽象)の被験者間デザインに割り当て

■手続き

・作家についての一般的な情報が書かれた短いパラグラフを読んだ

・2枚の絵画を鑑賞した後、参加者は作家の絵画への興味を答えた

・驚きと人間の独自性に対する脅威の認知を媒介変数として測定

・自分のアートの専門性に関する3つの質問に回答

■結果

・興味:ANOVAでは、3つの条件で有意な差が見られた(F(2, 470) = 3.263, p < 0.05)▶AI条件の参加者(MAI=4.42、SD=1.69;t(470)=2.55、p=0.011)は、人間条件の参加者(Mhuman=3.91、SD=1.86)よりも興味を示し、AI条件とコラボレーション条件(4.42 vs. 4.20; t(470) = 1.11, p = 0.267)、コラボレーション条件と人間条件(4.20 vs. 3.91; t(470) = 1.45, p = 0.147)では、有意差なし

・驚き:3つの条件で有意な差が見られました(F(2, 470) = 17.83, p < 0.001)▶AI(MAI = 4.52, SD = 1.64; t(470) = 5.86, p < 0.001)とコラボレーション(Mcollaboration = 3.82, SD = 1.67; t(470) = 2.07, p = 0.040)の両条件の参加者は、人間条件(Mhuman = 3.44, SD = 1.59)の参加者よりも驚きが大きい,AI条件とコラボレーション条件の間にも有意な差が見られた(4.52 vs. 3.82; t(470) = 3.85, p < 0.001)

・脅威:3つの条件で有意な差が見られました(F(2, 470) = 27.069, p < 0.001)▶AI条件(MAI = 2.41, SD = 1.71; t(470) = 6.96, p < 0.001)とコラボレーション条件(Mcollaboration = 2.21, SD = 1.55; t(470) = 5.66, p < 0.001)の両方の参加者は、人間条件(Mhuman = 1.30, SD = 0.76)の参加者よりも、人間の独自性に対する脅威をより多く感じる

・媒介:驚き(ab = .13, SE = .068, CI[.0039, .2704])と,人間の独自性に対する脅威の認知(ab = -.09, SE = .023, CI[-.1393, -.0493])の両方が,消費者の関心に対するアーティストのタイプの効果を完全に媒介

 

研究2

■参加者:Prolificの参加者290名(年齢=32.48、女性55.2%)

・1因子(擬人化:擬人化されたAI vs. 擬人化されていないAI vs. 人間)の被験者間デザイン

■手続き

・擬人化されたAIの条件の参加者は,性別(男性)が与えられた「Aiden」という名のAIに関する短い文章(一人称)

・非擬人化AI条件では、AIアーティストに名前も性別も与えず、三人称の言語を用いて客観的に描写

・擬人化されたAIの条件では、通常、人間に関連する対話的な手がかり(例えば、創造する、インスピレーション)を使用し、非擬人化AI条件では、コンピュータやロボットを連想させる対話の手掛かりを用いた(例:生産する、生成する、プログラムされたパターン)

・絵画への興味(4項目)、芸術家への関心(6項目)、驚き、擬人化に関する操作チェックの質問

■結果

・擬人化度操作チェック:擬人化の度合いを測るための6つの項目を平均化▶3つの条件で有意な差が見られた(F(2, 287) = 106.397, p < 0.001)。計画的な対比により、人間条件(Mhuman = 5.56, SD = 1.18; t(287) = 14.50, p < 0.001)と擬人化AI条件(Manthropomorphic = 3.71, SD = 1.71; t(287) = 5.69, p < 0.001)の両方の条件の参加者は、擬人化されていないAI条件のアーティスト(Mnon-anthropomorphic = 2.55, SD = 1.35)より人間的だと判断

・興味:3つの条件で有意な差が見られた(F(2, 287) = 3.979, p < 0.05)▶擬人化されたAI条件の参加者(Manthropomorphic= 3.99, SD = 1.95; t(287) = 2.82, p < 0.01)は、擬人化されていないAI条件の参加者(Mnon-anthropomorphic= 3.21, SD = 1.95)よりも高い関心

・驚き:3つの条件で有意な差が見られました(F(2, 287) = 4.49, p < 0.05)▶擬人化AI条件(Manthropomorphic = 4.22, SD = 1.73)の参加者は、非擬人化AI条件(Mnon-anthropomorphic = 3.83, SD = 1.70; t(287) = 1.37, p < 0.1)および人間条件(Mhuman = 3.50, SD = 1.51; t(287) = 2.99, p < 0.005)の参加者よりも驚きが大きかった

・アーティストへの興味:3つの条件で有意な差が見られた(F(2, 287) = 7.69, p = 0.001)▶擬人化されたAI(Manthropomorphic = 4.31, SD = 1.87; t(287) = 3.92, p < 0.001)の方が、擬人化されていないAI(Mnonanthropomorphic = 3.28, SD = 1.84)よりも、アーティストへの関心が有意に高いことが、計画的な対比によって示された

・擬人化の度合いを独立変数(1=擬人化されたAI、2=擬人化されていないAI、3=人間)とし、驚きとアーティストへの関心を媒介変数とし、アーティストの絵画への関心を従属変数:驚きと作家への関心が、消費者の作家の絵画への関心に対する擬人化の効果を連続的に媒介する

 

コメント

韓国の大学院生?の方の修士論文ぽいものだったけど、やりたいことが明確で分かりやすかった。結果もポジティブなもので、ぜひ引用したい。

 

論文

Code, L. (2020). Consumers ’ Affective and Cognitive Responses Toward Artificial Intelligence Artworks - Focused on the Role of Surprise , Threat , Anthropomorphism -.