コーヒー1杯の暖かさ

心理学を研究する大学院生が、研究もそこそこちゃんとやりながら、日本の教育に一石を投じます。

クリティカルアートの美的体験:画廊のコンテクストと学芸員の情報提供の仕方が与える影響(Szubielska & Imbir, PLOS ONE, 2021)

f:id:jin428:20210725210301j:plain

みなさんこんにちは!

微かに混じり合う教育と心理学とアートを考えていますじんぺーです。

今日も論文を読んでいきます。

  

www.jinpe.biz

 

クリティカルアートの美的体験:画廊のコンテクストと学芸員の情報提供の仕方が与える影響(Szubielska & Imbir, PLOS ONE, 2021)

私たちの研究の目的は、現代の批判的芸術作品を提示する状況(画廊での提示と実験室での提示)と、文脈的情報、すなわち学芸員の説明を知る方法(自分で読むか、聞くか、学芸員の情報がないか)が、批判的芸術の受容に及ぼす影響を調べることだった。実験的な刺激はすべて、現在の社会的・政治的問題を提起する現代アートの模範となるものだった。アートの専門家ではない人に、非言語的な尺度で感情的な反応を評価してもらい、作品に対する好感度や理解度を推定してもらった。

その結果、予想通り、アートギャラリーという環境は、価値、興奮、主観的重要性、優位性などの美的感情の経験と、好感度という美的判断の両方を増加させた。このように、クリティカルアート(最新の深刻な問題を批判的に扱っている作品)では、ギャラリーという状況的なコンテクストが美的体験を増加させることは、ギャラリー(または美術館)効果に関するこれまでの研究と同様だった。また、キュレーターからの情報は理解度を高めるものであり、専門家ではない人が批判的なアートを受け取る際には、解釈的なガイダンスが必要であると考えられる。主観的重要度は、学芸員の情報を読む条件が、学芸員の情報を聞く条件や対照条件(学芸員の情報がない)よりも高かった。つまり、アートの非専門家は、学芸員の説明に触れることで、クリティカルアートへの理解が深まるものの、それが好感度や美的感情の上昇にはつながらないようだった。これはおそらく、学芸員の説明によって、クリティカル・アートが扱う難しく、しばしば不快な問題を把握することができるからだろう。

 

論文

Szubielska, M., & Imbir, K. (2021). The aesthetic experience of critical art: The effects of the context of an art gallery and the way of providing curatorial information. PLoS ONE, 16(5 May 2021), 1–22. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0250924