コーヒー1杯の暖かさ

心理学を研究する大学院生が、研究もそこそこちゃんとやりながら、日本の教育に一石を投じます。

クラスターの失敗:fMRIによる空間的広がりの推論が偽陽性率を高める理由(Eklund et al., PNAS, 2016)

 みなさんこんにちは!

微かに混じり合う教育と心理学とアートを考えていますじんぺーです。

今日も論文を読んでいきます。

 

 

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クラスターの失敗:fMRIによる空間的広がりの推論が偽陽性率を高める理由(Eklund et al., PNAS, 2016)

結論から言うと、理論的には、(有意性の閾値を5%とした場合)5%の偽陽性が見つかるはずですが、代わりに、fMRI解析用の最も一般的なソフトウェアパッケージ(SPM、FSL、AFNI)では、最大70%の偽陽性率になることがわかった

 

背景

■機能的磁気共鳴画像法(fMRI)は,20年以上前に開発されて以来,人間の脳を理解するための一般的なツール

・PubMedによると約4万件の論文が発表されている

■実データを用いた統計手法の評価が可能になってきた

・Scarpazzaらは,396人の健常対照者の自由に利用できる解剖学的画像を用いて,ボクセルベースモルフォメトリー(VBM)のパラメトリック統計手法の有効性を検討

・一方,Silverらは,Alzheimer's Disease Neuroimaging Initiativeに参加した181人の被験者の画像と遺伝子型のデータを用いて,画像遺伝学で一般的な統計手法を評価

・SPMの時間的自己相関モデルが単純化されていることが原因で、期待される5%に対して70%という高い確率で偽陽性が発生することがわかった

▶しかし、これらの問題がグループ研究に伝播するかどうかは明らかではなかった

 

方法

■参加者:健常者499名の安静時fMRIデータは,SPM,FSL,AFNIで標準的な処理パイプラインに従って解析され,4段階の平滑化(4,6,8,10mmFWHM)と4つのタスクパラダイム(B1,B2,E1,E2)について解析が繰り返された

 

結果

■SPM,FSL,AFNIの経験上の偽陽性率を計算するために,合計288万回のランダムグループ分析を行った

・大まかにまとめると,パラメトリックソフトウェアのクラスター単位の推論におけるFWE率は公称値である5%をはるかに超えており,一方,パラメトリックのボクセル単位の推論は有効だが保守的で,しばしば5%を下回っている

・パラメトリック・ソフトウェア・パッケージの中では、FSLのFLAME1によるクラスター単位の推論が、FWEが非常に低く、しばしば有効(5%以下)であることが目立ったが、これは非常に保守的なボクセル単位の推論を犠牲にしている

■タスクデータ

・これらのミスマッチが偽陽性であると仮定すると、これらの18のコントラストを考慮した経験的なFWEは、CDT P = 0.01では11/18 = 61%、CDT P = 0.001では8/18 = 44%となる

・これらの結果は、安静時のデータだけでなく、タスクベースのfMRIデータにも問題があることを示す

■パラメトリックなクラスタワイズ推論に基づいて発表された無数のfMRI研究の妥当性に疑問を投げかけるもの

・最近のfMRI論文241本のうち約40%が多重比較の補正を報告しておらず、fMRI文献の多くのグループ結果は、今回の結果よりもさらに悪い偽陽性率を示していることになる

・最も一般的に使用されているクラスターエクステントの閾値は80mm3(サイズ2×2×2mmの10個のボクセル)であり、その場合のFWEは60-90%と推定

■前回の研究からの進展

・今回の研究ではグループ解析を検討しているのに対し,前回の研究では1人の被験者を対象

・前回の研究ではSPMのみを検討したのに対し、今回は最も一般的な3つのfMRIソフトウェアパッケージの妥当性を検討

 ・2標本のt検定における並べ替えの有効性については期待通りの結果が得られましたが、1標本の並べ替え検定においては、いくつかの設定で無効なFWEコントロールが得られることがわかった

 

コメント

MRIをやるなら読んだ方がよいと言われたが、少し難しかった。エッセンスは分かっている気がする。 

 

論文

Cluster failure: Inflated false positives for fMRI, Anders Eklund, Thomas E. Nichols, Hans Knutsson, Proceedings of the National Academy of Sciences Jul 2016, 113 (28) 7900-7905; DOI: 10.1073/pnas.1602413113