コーヒー1杯の暖かさ

心理学を研究する大学院生が、研究もそこそこちゃんとやりながら、日本の教育に一石を投じます。

ニコチン受容体遺伝子多型と自発的まばたき率との関連について(Nakano et al., Sci Rep, 2015)

f:id:jin428:20210923212831j:plain

みなさんこんにちは!

今日も論文を読んでいきます。

 

www.jinpe.biz

 

ニコチン受容体遺伝子多型と自発的まばたき率との関連について(Nakano et al., Sci Rep, 2015)

結論から言うと、ニコチン性アセチルコリン受容体CHRNA4の遺伝子変異(rs1044396)が、動画視聴時の瞬き回数を増加させることを明らかにした。

 

背景

■瞬きの回数と中枢性ドーパミンの活動との間に関係がある可能性が示されている

・いくつかのドーパミンアゴニストを投与すると、サルやヒトで瞬きの回数が直ちに増加した

・中脳のドーパミンニューロンが死滅してパーキンソン病になった患者では、まばたきの回数が驚くほど少なくなった

・瞬きの回数はサルの尾状核のドーパミン濃度と相関

・以前の研究では、ドーパミン代謝酵素やドーパミン受容体の遺伝子多型は、瞬きの回数とは関連がないことが報告されている

■まばたきの回数に影響を与えるもう一つの重要な因子はニコチン

・喫煙すると直ちにまばたきの回数が増加することが明らかになっている

・ヒトの遺伝子研究では、CHRNA4の対立遺伝子変異(rs1044396)がニコチン中毒と関連することが示されている

・喫煙やニコチンガムによるニコチンの摂取が、コリン・ドーパミン系を介して反射的な瞬きを調節することが明らかになっている

・神経系のニコチン受容体として最もよく知られているα4β2サブユニットは,アセチルコリンに対する感度が最も高い

・ノックアウトマウスを用いた研究では、このα4サブユニットをコードするCHRNA4遺伝子が、ドーパミン機能に影響を与えることが明らかになっている

 

方法

■参加者:喫煙習慣のないアジア人の健康な若年成人144名(男性53名、女性51名、年齢20~31歳)が参加

・参加者は、図1Aに示すように、CHRNA4(rs1044396)のC対立遺伝子の数に基づいて、2つ(CC遺伝子型、n=57;男性、n=32;女性、n=25)、1つ(CT遺伝子型、n=39;男性、n=17;女性、n=22)、なし(TT遺伝子型、n=8;男性、n=4;女性、n=4)の3つのグループに分けられた

・TT遺伝子型の頻度が低かったため、登録された参加者を以下の2つのグループに:CCとCT/TTに分けた

■手続き

・英国のテレビコメディ「The Best Bits」の中の「Rowan Atkinson in Mr.Bean 1」から抜粋した8分間のビデオを自由に視聴しながら、垂直方向の眼電図(EOG)によって被験者の瞬き行動を測定

・映像刺激を見ながら眼球運動を測定することと,映像の内容に関する4つの多肢選択問題に後日回答することを事前に伝えた

 

結果

■休息時の平均まばたき回数は、ビデオ撮影時の平均まばたき回数よりも有意に多い(休息時:23.2回/分、ビデオ撮影時:19.4回/分、paired t-test, t = 4.0, p < 0.0002)

■CT/TT遺伝子型のビデオセッション中の平均まばたき回数(21.7±1.0、平均±SE)は、2標本t検定(t=2.9、p=0.005、図1B)によると、CC遺伝子型の平均まばたき回数(16.7±0.8、平均±SE)よりも有意に多かった

・CT/TT遺伝子型の安静時のまばたき回数の平均値(平均±SE、24.1±1.3)は、2標本のt検定(t=0.9、p=0.4)によると、CC遺伝子型のそれ(平均±SE、22.2±0.9)と有意差はなかった

▶CHRNA4遺伝子の遺伝子変異によりニコチン受容体の感度が高まると、中脳でのドーパミン放出が促進され、その結果、自発的瞬き率が高まるのではないかと考えられる

 

コメント

まばたき回数がニコチン受容体と関連することを示した研究、ドーパミンとの関連も考察には書かれてあって引用できそ。

 

論文

Nakano, T., Kuriyama, C., Himichi, T. et al. Association of a nicotinic receptor gene polymorphism with spontaneous eyeblink rates. Sci Rep 5, 8658 (2015). https://doi.org/10.1038/srep08658