コーヒー1杯の暖かさ

心理学を研究する大学院生が、研究もそこそこちゃんとやりながら、日本の教育に一石を投じます。

美的感情の次元とクラスター:セマンティックプロファイル分析(Beermann et al., Frontiers in Psychology, 2021)

f:id:jin428:20210930170854j:plain

みなさんこんにちは!

じんぺーです、今日も論文を読んでいきます。

 

www.jinpe.biz

 

美的感情の次元とクラスター:セマンティックプロファイル分析(Beermann et al., Frontiers in Psychology, 2021)

結論から言うと、探索的主成分分析の結果,意味空間はvalence,power,arousal,noveltyの4次元構造であることが示唆され,大規模な標準的感情用語を対象としたGRIDによる先行研究と一致した。

 

背景

■はじめに

・美的感情語の意味論的意味を明らかにするために、心理言語学的ツールであるGRID instrument (Fontaine et al., 2013)を採用

・情動エピソードは,主観的な感情,認知的評価,身体的反応,(顔,声,姿勢)表現,行動傾向という5つの要素の動的な変化で構成

・GRIDでは,回答者がこの特定の用語からどのような感情要素を連想するかを尋ねることで,感情用語の背後にある一般的な概念を調べることができる

■「美的感情」(Frijda, 1989; Keltner and Haidt, 2003; Silvia, 2005, 2009; Scherer and Coutinho, 2013; Perlovsky, 2014; Menninghaus et al. 2019)

・主観的に認識された美徳や悪徳に対する直感的な評価としての美的感情の定義を提案

・(1)それぞれの事象や対象物の美的評価や鑑賞を含む、(2)ある種の美的魅力を予測する、(3)主観的な快・不快感と関連する、(4)問題の事象や対象物の好き・嫌いを予測する、という4つの必須機能が美的感情を定義

・感動、魅了、畏敬、不思議といった感情用語は、典型的な美的感情と考えられており(Keltner and Haidt, 2003; Scherer, 2004; Frijda, 2007; Scherer and Coutinho, 2013; Fingerhut and Prinz, 2020)、美的感情を評価するアンケートのためだけではなく、美的評価を伴わない感情体験を特徴づけるためにも使用

・美的感情の用語は「概念のブレンド」(Menninghaus et al.2020)

・利用可能な語彙化された感情用語に、文脈に応じた追加の意味が付与される

・Augustinら(2012)は、視覚的な美学における言葉の使い方に関する研究の中で、美的な印象の説明や測定に関する用語が正確でないことを嘆いている

・Schindlerら(2017)は、この75の感情用語のセット(最終的に42項目を保持)に基づいて、美的感情を評価するためのドメイン・ジェネラルな尺度として、「美的感情尺度(AESTHEMOS)」を開発

■感情空間

・音楽が生み出す美的感情の領域では、Schubertとその共同研究者(Schubert et al., 2016, 2020)は、価数次元と外部/内部軌跡次元からなる、感情空間の2次元モデルを提案

・言語や地域の違いに関する興味深い特異性とは別に、valence、power、arousal、noveltyからなる安定した4次元構造が、すべての言語と文化で現れ(Fontaineら、2007、2013、2021;Gilliozら、2016)

・達成感情という特定の領域内でも現れた(Gentschら、2018)

 

方法

■参加者:ベルリン自由大学の学生157名(男性38名、女性119名、年齢17歳~55歳、M = 24.25、SD = 5.28)

・参加者のうち75人は、歌、楽器演奏、執筆、視覚芸術、ダンス、演技などの芸術分野で活動

■資料

・2つの先行研究ですでに使用されていた75の感情用語の同じプールを使用(Hosoya et al.2017; Schindler et al.2017)

・感情体験の種類を表す単語や短いフレーズで構成

・美的感情体験のための慣用表現の包括的なプールを提供

・さらに、被験者には「美的体験をした人を想像してください」と指示して、美的な文脈を加えた

■GRID

・CoreGRIDの特徴量を5つの感情成分にグループ化して使用

1)主観的な感情(10個の特徴、例:「良い」)

2)身体的な反応(11個の特徴、例:「心拍数が速い」)

3)顔、声、姿勢の表現(12個の特徴、例:「声が大きくなった」)

4)行動傾向(14個の特徴、例:「歌いたい、踊りたい」)

5)出来事の評価・査定(状況や出来事に対する認知的評価、21の特徴、例:「その出来事はコントロールできなかった」)

 

結果

■主成分分析

・固有値>1の基準では,5つの次元が抽出

・5つの次元は、価値、喚起、パワー動機(状況に取り組みたい、または障害を克服したいと思うだけでなく、強い、または弱いなど)、パワー潜在力(出来事の結果をコントロールする力を持っている、または持っていないなど)、新規性と解釈

美的感情の領域では、対処能力(美的体験の結果をコントロールしたり対処したりする力の高さや低さ)の問題は比較的重要ではないので、パワーの次元のこの細分化はあまり意味がない

・特に感情用語の専用の意味分析における以前の知見を反映していることから、さらなる分析のために4次元解に落ち着いた

 

コメント

美的感情も日常的な感情と同様の次元で評価できるという研究。多言語、多人種のサンプルにはたしかに価値がありそう。

 

論文

Beermann, U., Hosoya, G., Schindler, I., Scherer, K. R., Eid, M., Wagner, V., & Menninghaus, W. (2021). Dimensions and Clusters of Aesthetic Emotions: A Semantic Profile Analysis. Frontiers in Psychology, 12(May), 1–18. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2021.667173